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黒夢の商標登録の更新が行なわれていない件(老婆心)(追記あり)

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
(写真:アフロ)

2016年にロックバンド「黒夢」の名称の商標権が事務所の破産により競売の対象となり、関係者と思われる方が落札して件については以前に書きました

その記事で「再来年には更新期限が来てしまいますので、忘れずに更新していただきたいものです」と書いたのですが、今、確認したら被服と貴金属を指定商品にした「黒夢」の商標登録(5106735号)の更新期日が今年の1月25日であるところ、更新された記録がありません。

商標権の維持には10年ごとに更新料金の支払いが必要です(5年ごとの分割も可能)。期日が過ぎても半年間は救済期間があって所定の料金の倍額を払えば更新が可能です(俗に「倍額期間」と呼ばれます)。つまり、この件では7月25日までに料金を支払えば更新は可能です。もう更新の意思がなく敢えて支払っていないのかもしれないですし、支払いは既に行なわれているがウェブへの反映が遅れているだけなのかもしれませんが、もし忘れていたならせっかく落札したのですから支払った方がよいと思います(特許庁に行けばやり方はわかります)(老婆心)。なお、競売の対象になった「黒夢」関係の商標登録はあと3件ありますが、それらの更新期日はもう少し先です。

一般に、特許権や商標権の維持には料金の継続的支払いが必要です(業界では「年金」と呼ばれています、もらう年金ではなく払う年金です)。支払い期日が来ても特許庁から連絡や督促が来ることはありませんので自分で管理することが必要です。特許事務所に出願を委任している場合は、特許事務所が責任を持って期日管理します(事務所運営上最も気を使う業務のひとつです)が、個人で出願された場合には10年先の日付を覚えておくのはなかなか難しいので十分な注意が必要です。

[追記]期限ぎりぎりの7月13日付けで無事更新されたようです。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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