韓流スターたちを悩ます「借金・詐欺・金銭トラブル」の“家族リスク”とは?
日本では2世タレントたちがトラブルやスキャンダルを起こすたびに“親の七光り”を指摘され問題になったりするが、韓国では親や家族が起こした問題がスターやアイドルたちの足を引っ張り、そのイメージを傷つけることが多々ある。
最近も韓国芸能界では、「ビットゥー」運動に頭を悩ませている。
「ビッ」というのは日本語で「借金」や「借り貸し」のこと。韓国ネット掲示板に芸能人の家族へ貸したお金を踏み倒されたり、騙し取られたという告発が相次いでいることから、メディアが「#MeToo」にちなんで「ビットゥー」と呼んでいるのだ。
事の発端は、人気上昇中のラッパー、Microdotの両親が約20年前に巨額の詐欺を行い、ニュージーランドに逃亡したというネット上の噂だった。
(参考記事:両親が詐欺、夫が飲酒運転、先祖が親日派…韓国芸能人を悩ます“家族リスク”事例まとめ)
噂に対してMicrodot側は「事実無根だ。名誉毀損による法的対応を行なう」と強く否定するも、被害者らが警察に提出した当時の書類や証言などが次々と公開されると立場を一転。「親のせいで傷ついた方にお詫びする。息子として責任を取る部分があると思った」とし、出演中の全番組から自主的に降板した。
それから間もなくして今度はラッパーのDOK2の母親に詐欺疑惑が浮上。母親が過去に中学の同級生から1000万ウォン(約100万円)を借りた直後、行方をくらましたとの内容だった。
DOK2はすぐさまインスタグラムのライブ配信を通じて「それは2003年に民・刑事的に完結した事件だ」と説明したが、「自分にとって1000万ウォンは1カ月分の食費程度にしか過ぎない。お金が必要ならライブ会場に訪ねてこい」と、債権者をバカにするような発言も付け加えたことで論議を呼んだ。
先日は、韓国大統領府の国民請願にも“ビットゥー”の告発文が登場した。槍玉に挙げられたのは、歌手兼俳優として活動し日本でも人気を誇ったRAIN(ピ)だ。
RAINの両親が餅屋を運営していた頃、告発者の親から借りた約1700万ウォン(約170万円)分のお米と、現金800万ウォン(約80万円)を返さなかったとの主張だった。
RAINと言えば人気女優キム・テヒの夫で、最近女子ゴルフのイ・ボミと熱愛報道があった俳優イ・ワンとは義理の兄弟に当たる。
事件の当事者であるRAINの母はすでに亡くなっているが、RAIN側は「事実関係を確認し、もし問題になる場合は息子として問題解決に最善を尽くす」と発表し、直ちに対応に入った。日本ではちょっと考えにくいことかれしない。
(参考記事:歌手RAIN、両親を告発した当事者と法廷争いか。「可能な限りの手段を利用する」)
ただ、それも仕方がないのだろう。韓国では過去に、家族の不徳でイメージダウンを余儀なくされた芸能人が少なくないのだ。
例えば、日本でも活動したユン・ソナの場合、息子が校内暴力の加害者だったことでネット炎上。芸能活動を中止してカナダへと移住している。
『ゴールデンスランバー』『人狼 JIN-ROH』といった日本原作の韓国実写版映画への主演が続く俳優カン・ドンウォンも、“親日人名辞書”に名前が載っている母方の曽祖父を「芸術的な人だった」と語っていたことが問題視されて炎上した。
カン・ドンウォンはのちに「母方の曽祖父の恥ずかしい過去を知った。歴史についてもっと勉強する」と、謝罪文を発表するも、“親日派の子孫”という言葉がしばらくつきまとった。
こうした前例もあってか、韓国では“家族の問題”こそが芸能人の潜在的リスクとされており、一部の芸能事務所では契約の際、親の債務状況や成長環境なども調査して検討する場合もあるという。最近もK-POPガールズグループMAMAMOOのフィインが“家族リスク”に悩まされている状態だ。
(参考記事:韓国芸能界で相次ぐ“家族リスク”。今度はK-POPアイドルと女優が“迷惑な父”を告白)
韓国メディア『スポーツソウル』の取材に応じた芸能関係者は「本人の才能がどんなに素晴らしくても、親が口出しするようなら契約を避ける場合もある。特に新人の場合は、親の職業や家族との関係などをチェックせずにはいられない」と打ち明けていた。
家族が起こした問題やトラブルを、直接関わっていない芸能人に償わせようとするのは少々酷な気もする。
ただ、韓国は日本よりも家族を運命共同体と考える傾向が強く、芸能人に求める道徳的基準も厳しいだけに、多くの芸能人たちが“家族リスク”に悩まされるのも仕方のないことかもしれないが……。