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棋士編入試験を控えた里見香奈女流五冠(30)朝日杯一次予選では有森浩三八段(59)に敗れる

松本博文将棋ライター

 8月12日。大阪・関西将棋会館において第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦▲有森浩三八段(59歳)-△里見香奈女流五冠(30歳)戦がおこなわれました。

 振り駒の結果、有森八段が先手。序盤の駆け引きのあと、有森八段が向かい飛車、振り飛車党の里見女流五冠が居飛車をもって戦うことになりました。

 里見女流五冠の玉形が整わないうちに、有森八段は端9筋から動いていきます。中盤の難しい折衝が続いたあと、有森八段は相手陣に角を飛び込む鋭い攻めを見せます。角を取らせる代償に飛車を成り込んで、形勢は有森八段優勢となりました。

 里見女流五冠は美濃囲いに収まっていた有森玉に向かって反撃。きわどく追い込んでいきます。しかし有森八段の応手は的確でつかまりません。

 101手目、有森八段は王手飛車をかけます。攻防ともに見込みのなくなった里見女流五冠はここで投了。有森八段の勝ちとなりました。

 里見女流五冠の一般公式戦における今年度成績は7勝3敗となりました。

 女流棋界の第一人者として女流棋戦、一般公式戦の両方を戦い、大変なハードスケジュールが続く里見女流五冠。15日には棋王戦本戦で、阿久津主税八段と対戦します。

 そしていよいよ18日には棋士編入試験五番勝負が始まります。

 第1局では徳田拳士四段と対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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