「日本と韓国の苦戦は予告編だ」。W杯アジア最終予選で韓国に待ち受ける「地獄のロード」
9月から始まったサッカーのカタール・ワールドカップアジア最終予選。パウロ・ベント監督率いる韓国代表の動向を探るべく、日本から取材に来ているが、あまり景気の良い話は聞こえてない。
まだ2試合が終わっただけだが、早くも「今回も道のりは険しそうだ」とタメ息をつく記者仲間も多い。
実際、韓国の2試合を取材したが、タメ息をつきたくなるような試合内容だった。
9月2日には行われた初戦のイラク戦では0-0のドロー。FIFAランキング36位の韓国は、70位のイラク相手にパフォーマンス面で圧倒できないまま90分を送った。むしろ、イラクの徹底したカウンターにヒヤリとさせられる場面もあった。
9月7日に水原(スウォン)で行われたレバノン戦も似たような展開が続いた。右ふくらはぎのケガでキャプテンのソン・フンミンを欠いた韓国は、なかなかゴールを割ることができず、もどかしさを募らせた。後半にMFクォン・チャンフンのゴールで1-0の勝利したものの、快勝とは言い難かった。
ちなみに韓国はレバノンと2次予選でも対戦し苦戦を強いられている。レバノン代表を率いるのは今年7月に就任したばかりのイワン・ハシェック監督。現役時代はサンフレッチェ広島やジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド市原・千葉)などJリーグで活躍し、指導者転向後も2004年にヴィッセル神戸で指揮を執るなど、日本との縁が深い人物だ。
今回のレバノン戦は主審も日本の佐藤隆治氏だったが、韓国では同じく予選2試合で苦戦が続いたサッカー日本代表を引き合いに出しながら「もはやアジアに絶対強者も弱者もいない。韓国と日本の苦戦は最終予選が簡単ではないことを示してくれた一種の予告編だ (『スポーツソウル』)とするメディアも多い。
(参考記事:W杯最終予選、韓国対レバノンを担当する日本人主審にレバノンメディアが難癖のワケ)
少なくとも韓国はこれからも厳しい戦いが続く。
韓国は10月7日にホームでシリア代表と対戦した後、10月12日には敵地でイラン代表に臨まなければならない。
韓国とイランの通算対戦成績は9勝9分13敗と韓国が負け越しており、韓国は2011年アジアカップ準々決勝での勝利を最後に、直近10年間は2分4敗。しかも、敵地の試合では通算2分5敗と一度も勝ったことがない。新型コロナの影響で無観客試合や中立地で開催される可能性もあるが、イラン戦が試練の場となるのは間違いなさそうだ。
11月になっても試練は続く。韓国は11月11日にホームでUAE代表と対戦した後、11月16日にはアウェーでイラク代表と対戦するが、不安視されているのはソン・フンミン、ファン・ウィジョ、ファン・ヒチャン、イ・ジェソン、ファン・インボム、キム・ミンジェといった欧州組の負担だ。
今回の2試合でも長距離移動で韓国に戻った欧州組の動きは鈍く、それが苦戦の要因のひとつとされだが、10月と11月は欧州→韓国→中東と長い移動と時差の混乱も待ち受けている。
今季からトルコのフェネルバフチェでプレーするDFキム・ミンジェも、「(欧州組の代表参加が)大変であることがやっとわかった」と語っていたが、森保一監督率いる日本代表同様に主力の大半が欧州組で構成されている韓国代表にとって、10月と11月はまさに最初の正念場となりそうだ。
また、来年にはレバノン戦(1月27日)、シリア戦(2月1日)とアウェー2連戦も控えている。
東北アジアから中央アジア、さらには欧州へと繋がる道としてシルクロードが有名だが、イラン、UAE、イラク、シリア、レバノンといった中東勢ばかりのグループAに属する韓国とってはこれからの道のりが「地獄のロード」にもなりかねない。いずれにしても茨の道は続きそうだ。