全勝対決を制した11勝無敗8KOのライト級新鋭
SHOWTIMEは、10戦全勝7KOのチャン・トンソン(30)と13戦全勝9KOのタイラー・トムリン(22)のサバイバルマッチを組んだ。カナダ人であるトンソンと、テネシー州在住のトムリンの8回戦は、同局がこれからの若手を育成する意味合いを込めて中継した。
デビュー以来、全てのファイトを祖国アメリカで戦ってきたトムリンに対し、トンソンは米国のリングに上がるのが3度目。どちらかといえば、SHOWTIMEは22歳の若者にチャンスを与えたように見えた。
カナディアンは、この日のファイトが2022年に入ってから4度目。直近の2試合はコロンビアに遠征しており、"敵地"での戦いを制した叩き上げの強さがあった。1992年バルセロナ五輪ミドル級で銅メダリストとなり、プロ転向後はNABF、WBFライトヘビー級タイトルを獲得したクリス・ジョンソンの指導を受けるトンソンは、メンタルも鍛え上げられていた。
試合開始直後から、いい意味でリラックスし、自身の距離を保ってリングをコントロールする。
トンソンはジャブ、右ストレートを効果的にヒットしてペースを握り、3ラウンドには連打を浴びせてトムリンの左目をカットした。
レフェリーストップを懸念するトレーナーであるトムリンの父は、翌ラウンド前のインターバル中、息子にギアを上げろと声を掛ける。
が、5回、顔面の左半分を血で染めたトムリンの傷の深さを考慮したドクターが、ストップを宣言。結局、同ラウンド1分1秒でトンソンがTKO勝ちを収め、試合は終了した。
試合後、勝者は語った。
「思ったよりもタフな相手だった。その点には驚かされた。俺の強打を浴びても、彼は下がらなかったね。ただ、ずっと俺のペースで試合が進んだよな。あのまま続けていたら、ヤツは死んでいたんじゃないか」
<期待の新星をベテランが叩く>。
トンソンがプロの意地を見せ、階段をひとつ上がった。