ドラフト会議に向けて“ラストオーディション 2019”―ドラフト候補選手たちの最後の戦い
■ラストオーディション
「ラストオーディション」。
野球の独立リーグのひとつであるBCリーグ。所属選手たちはトップステージであるNPBを目指して日夜奮闘している。
福井ミラクルエレファンツの田中雅彦監督は常々言う。「BCリーグの試合はオーディションの場だ」と。この言葉を借りると、明日から開催される4試合は10月17日のNPBドラフト会議前、“最後のオーディション”ということになる。
(昨年のBCリーグ選抜試合 昨年のBCリーグ選抜・投手診断)
BCリーグ11球団から選抜された選手たちでチームを結成し、9月19、20日はジャイアンツ球場で読売ジャイアンツ3軍と、25、26日はオセアンバファローズスタジアム舞洲にてオリックス・バファローズのファームと対戦する。
一昨年から始まったこの選抜試合だが、今年はやや様相が違う。選抜された選手の数がこれまでと比べて減っている。
より絞り込まれた「ドラフト候補選手」ひとりひとりの出場機会を増やそうという狙いだ。
選抜メンバーは以下のとおり(追加、変更の可能性もあり)。
【9月19、20日 対読売ジャイアンツ】
《投手》
松岡 洸希(19) 埼玉武蔵ヒートベアーズ
青やぎ 正輝(23) 群馬ダイヤモンドペガサス
長谷川 凌汰(24) 新潟アルビレックスBC
前川 哲(23) 新潟アルビレックスBC
宮野 結希(19) 信濃グランセローズ
有馬 昌宏(23) 富山GRNサンダーバーズ
永水 豪(24) 石川ミリオンスターズ
矢鋪 翼(23) 石川ミリオンスターズ
《捕手》
秋庭 蓮(23) 栃木ゴールデンブレーブス
速水 隆成(22) 群馬ダイヤモンドペガサス
喜多 亮太(24) 石川ミリオンスターズ
坂本 竜三郎(19) 福井ミラクルエレファンツ
《内野手》
谷津 鷹明(24) 栃木ゴールデンブレーブス
青木 颯(24) 群馬ダイヤモンドペガサス
樋口 龍之介(25) 新潟アルビレックスBC
今村 春輝(23) 石川ミリオンスターズ
神谷 塁(24) 石川ミリオンスターズ
《外野手》
加藤 壮太(21) 埼玉武蔵ヒートベアーズ
松村 誠矢(23) 富山GRNサンダーバーズ
【9月25、26日 対オリックス・バファローズ】
《投手》
小沼 健太(21) 茨城アストロプラネッツ
松岡 洸希(19) 埼玉武蔵ヒートベアーズ
長谷川 凌汰(24) 新潟アルビレックスBC
前川 哲(23) 新潟アルビレックスBC
宮野 結希(19) 信濃グランセローズ
有馬 昌宏(23) 富山GRNサンダーバーズ
永水 豪(24) 石川ミリオンスターズ
矢鋪 翼(23) 石川ミリオンスターズ
《捕手》
喜多 亮太(24) 石川ミリオンスターズ
坂本 竜三郎(19) 福井ミラクルエレファンツ
《内野手》
新山 進也(20) 栃木ゴールデンブレーブス
青木 颯(24) 群馬ダイヤモンドペガサス
樋口 龍之介(25) 新潟アルビレックスBC
今村 春輝(23) 石川ミリオンスターズ
神谷 塁(24) 石川ミリオンスターズ
湯井 飛鳥(21) オセアン滋賀ユナイテッドBC
《外野手》
加藤 壮太(21) 埼玉武蔵ヒートベアーズ
松村 誠矢(23) 富山GRNサンダーバーズ
(数字は今年度の満年齢)
■選抜選手の意気込み
松岡洸希(まつおかこうき)
【32試合 0勝2敗 27・2/3回 奪三振33 与四死球24 被本塁打1 防御率3.58】
いつもと変わりなく、自分が持っているものを出したい。
6月の選抜(今年6月11日、ベイスターズ球場で行われた)のときも、自分の持っているものがしっかり出せたと思う。ブルペンでは少し緊張したけど、試合になったらそんなに緊張はしなかった。
初めて組むキャッチャーでも、そんなに僕は…。全然気にならないです。受けてくれるキャッチャーがいれば(笑)。
けっこう僕もアバウトなので、細かいことは言わず大胆にいく。
今季は1年目だけど試合でけっこう投げさせてもらって経験できたし、自分を知ることができた。
こういう相手には自分のこういう球が使えるとか、その日の調子で今日はこういう調子だからこうすれば抑えられるというのがわかってきた。
選抜試合が楽しみ。
長谷川凌汰(はせがわりょうた)
【22試合 11勝1敗 完投4 118・2/3回 奪三振105 与四死球32 被本塁打3 防御率2.05】
昨年の選抜試合では153キロというインパクトある数字は出せたけど、ただただ速さだけを求めてビジョンが明確じゃなかった。
今年はいかに自分をアピールするか。バッターの抑え方、マウンドでのたたずまい、そういうのも見られる立場や年齢だと思うので、そこも意識したい。
リリーフ、先発どちらもさせてもらえる。リリーフでは2日連続で同じピッチングしていたらやられる。NPBの勝ちパターンで投げていることを想定して、抑え方も考えたい。
シーズン中はチームのために勝つことに徹していたけど、純粋に自分をアピールするピッチングをしたい。
「BCのレベルじゃない!モノが違う!」と思わせられるように。そこは自分に期待してやっていきたい。
永水豪(ながみずごう)
【21試合 11勝5敗 完投8 155回 奪三振125 与四死球45 被本塁打10 防御率2.21】
シーズン中は総合的なものを見られてきたと思う。たとえば変化球をどこに、しっかり投げられるかとか、三振を取れるとか、長いイニング投げても球威が落ちないだとか、そういうところを今までの試合では見られていたと思う。
でも選抜試合は多くても2回だと思うので、1球1球をしっかり狙ったところに投げるのはもちろんだけど、その1球をしっかり投げたい。
1球で打ち取れる強さとか、そういうのを出していけるようにしたい。
小沼健太(おぬまけんた)
【21試合 3勝14敗 137回 奪三振94 与四死球49 被本塁打11 防御率3.68】
昨年までは夏場、少しバテて成績が落ちたけど、今年は夏に落ず上げていくことができた。7月から9月、いい調子で投げられた。
昨年の選抜試合は夏の疲れがとれずに臨んで、バタバタして抑えていた感じだった。スピードもあまり出なくて。
今から思い返すと、何も考えず投げていた。
今年は137イニング投げて、試合の中で自分で考えることができるようになった。
こうすれば抑えられるという、バッターひとりひとりの違いがわかるようになって、配球パターンも自分でわかるようになった。考えた上で投げて、抑えることができた。
これはNPBに通用するんじゃないかと思っているので、そこはアピールポイント。
今年の選抜試合では2イニング投げさせてもらう。
選抜で回をまたぐのは初めてで、先発として見てもらっている。またいだ回をしっかり抑えられるか。
球種としてはまっすぐもだけど、今年覚えたカットボールを見てもらいたい。6月の選抜試合では投げられなかったので。
カットが投げられるようになったのが、自信がついたポイント。
喜多亮太(きたりょうた)
【70試合 60安打 二塁打10 三塁打1 本塁打5 打点29 三振47 四死球33 犠打6 犠飛0 盗塁2 打率.255】
(自チームの)永水とか矢鋪と組ませてくれたらいいけど、ほかのピッチャーとは即席バッテリーになる。
西地区のピッチャーはわかるけど、ほかのピッチャーと組んだときに「(いいところを)引き出せ」って言われて、一日も経ってない中で活かせられるかどうか…。
全員がアピールの場なので、正直もう「好きな球、一番自分が自信ある球って何?」って訊いて、自信のある球を投げさせる。アピールの場では、それが一番やと思うので。
自分自身のアピールとしては、肩の強さとか、強く打てるっていうのは見せていきたい。
キャッチャーとしてはもちろんキャッチングやブロッキング、立ち居振る舞いとかはめちゃくちゃ大事やと思う。そこも見てもらいたい。
坂本竜三郎(さかもとりゅうざぶろう)
【53試合 34安打 二塁打5 三塁打3 本塁打1 打点15 三振39 四死球10 犠4 犠飛4 盗塁0 打率.209】
全部を見てもらいたい。試合前の練習の取り組みだったり、打席での表情だったり、自分のすべてをみてもらいたい。
技術面では守備。最近、肩の調子がすごくいいんで、盗塁されたら絶対に刺す。
シーズンが終わっても、地元のチームでずっと練習してるんで。でも試合がないので体は休められて、体調は万全。
緊張すると地に足が着かなくなるけど、そうは見られないようで、田中監督にもいつも落ち着いてるって言われる。
なので自分に暗示をかけて、自分のプレーができるように頑張りたい。
それなりに経験も積んできたので、6月の選抜試合とは全然違うと思う。
自分自身もどれだけ成長しているのか楽しみ。
初めてのピッチャーばかりだけど、ピッチング練習のときに球種に優先順位をつけて、気持ちよく投げてもらえるようにしてピッチャーを乗せていきたい。
難しいと思うけど、頑張りたい。
神谷塁(かみやるい)
【70試合 95安打 二塁打6 三塁打2 本塁打1 打点28 三振27 四死球36 犠打9 犠飛0 盗塁43 打率.332】
シーズンでやってきたものを変えるっていうことはないので、自分のバッティングや塁に出たら足っていう、今持っているものを見せたい。
守備は普通のゴロを普通にアウトにして、っていう…何も変わらない、とくに。シーズンでやってきたことをやるだけ。
そのときで調子いいとか悪いとかあると思うけど、もう人生ここまできたらやるしかない!
あとは、思いきってやるだけ!!
それぞれが持てる力を存分に発揮し、おおいにアピールすることを願う。
(撮影はすべて筆者)