沈みゆくカリフォルニア 洪水と干ばつのダブルパンチ
メガドラウトと称されるほど、大干ばつにあえぐカリフォルニアに、今週記録的な雨が降りました。現地では今も、深刻な洪水や土砂崩れに伴う復旧活動が行われています。
大干ばつ中の大洪水
カリフォルニアにとって、水は喉から手が出るほど欲しいもの。地球温暖化は、この場所に高温・少雨と言う形で影響しています。しかし、今秋は大規模なエルニーニョの影響で、大雨が度々降っています。
水曜日には、中部のレオナ郡で一時間に150mmを超える豪雨が降り、また都市のロサンゼルスでも記録的な雨が降りました。
4年も続く干ばつによって枯渇した川に大雨が降ったことで、川底の土砂が流れ出し、土砂崩れが発生。また排水能力を超えた突然の大雨により、各地で洪水が多発し、家々も浸水するなど被害が広がりました。
洪水の意外な理由
天気の世界に「もし」はありませんが、もしこれと同量の雨が以前に降ったとしても、今回ほど深刻な洪水は起きなかったかもしれません。なぜでしょうか。
その一因は地盤沈下にあります。NASAの報告によると、カリフォルニアでは地下水の汲み上げ過ぎによって、前例にないペースで地盤が下がっていることが分かりました。
2011年から続く高温・少雨の気候により、雨はおろか、水の供給源である雪も山にほぼ積もっていない状態が続いています。特に地下水で農業用水をまかなっている州中部は最悪で、なんと一か月に5センチ、単純計算で一年で60センチも下がっているといいます。
その結果、橋、道路や水道管などにストレスを加え、洪水に脆弱な環境を作っているのです。
地下水位が高くなって困る東京の現状
戦後日本でも、農業用水の確保や、高度経済成長期の工業発展により、地下水が大量に汲み上げられ、地盤沈下が問題になった時代がありました。
東京の海抜0メートル地帯と言われる、江東区や江戸川区などがその例です。本来なら自然界にはないはずの、海面より低い地域が存在するのは、まさに地下水の汲み上げによるものなのです。
しかしその後、東京都では汲み上げを規制したことによって、今では全く逆の問題が発生しています。地下水が増えて、地下室が漏水するなどの被害が起こっているのです。
駅も例外ではありません。1991年、JR武蔵野線・新小平駅では、地下水位の上昇によって駅舎が1.3メートルも上昇し、線路を分断してしまうという、耳を疑うような出来事が起こりました。
実は、東京駅でもまた、船が停泊するときのようにイカリを地盤に打ちこんで、地下水位の上昇によって駅が浮き上がるのを防止する措置が取られています。上野駅に当たっては、すでに「地下水の中に浮いている状態」で、イカリを打ちこんだり、鉄のオモリを置いたりして対策が取られているといいます。(参考資料)
地下水が多いということは、少しの雨でも洪水が発生しやすくなります。しかし一方でカリフォルニアのように、地下水位の低下が、洪水の被害を大きくさせることもあります。結果的に、極端な地下水位の変化は、災害を起こしやすいということを示唆しているのです。