Yahoo!ニュース

着々と進む闇バイト阻止の包囲網 ようやく?国をあげて取り組みに本腰を入れてきた #専門家のまとめ

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:イメージマート)

着々と闇バイトを阻止するための包囲網が築かれつつあります。

10数年にわたって、闇バイト募集こそが犯罪の入り口であり、特殊詐欺などが増えている大きな要因であることをテレビ番組や記事などを通じて伝え続けてきました。

ようやくここにきて社会的に注目され、国をあげて本格的に対策に乗り出してきました。しかしここに至るまであまりにも長い時間がかかり、どれだけの多くの悲劇と被害が生まれてきたかを思うと胸が痛くなります。今、どのような闇バイトを防止するための取り組みがなされているのでしょうか。

ココがポイント

「闇バイト」の応募者について、各地の警察が125件の保護措置を取った
出典:毎日新聞 2024/12/4 (水)

警察庁は今年度の補正予算案におよそ411億円を計上し、そのうち「闇バイト」による強盗対策におよそ6億5000万円を計上
出典:TBSテレビ 2024/11/30(土)

「(実行役の)顔が忘れられない。すごく怖かった」と話し、事件から約3か月がたった今も恐怖心が消えない
出典:読売新聞 2024/12/4(水)

「闇バイト」という、犯罪行為であることをあからさまに伝えないで募集するやり方は、犯罪者側が生み出してきたもの
出典:Yahoo!ニュース エキスパート 多田文明 2024/10/10(木)

エキスパートの補足・見解

これまで犯罪者側の求人募集の際に「闇」の言葉をつけることで、応募者の罪意識を低くさせながら犯行をさせようとする意図を感じてきました。それだけに警察からの「闇バイトは犯罪」との注意喚起は非常に有効です。

1か月半での相談件数が125件ですが、相手の身元をおさえて脅す手法は、かなり前から行われています。これまでどれだけ多くの人が警察に相談できず、犯行を繰り返さざるを得なかったのか。それは間違いなく甚大な詐欺、強盗の被害につながっています。

年末年始に向けて、組織的犯罪グループによる犯行が増えることが想定されます。それに伴い、SNS上での闇バイト募集も多くなされるはずです。

今は、多くの応募者から連絡をさせるために「ホワイト案件」「副業」との詐欺につながらないような言葉で募る書き込みもみられます。若者が闇バイトに応募する傾向はありますが、中高年も手を染める状況もあり、借金があり、お金に困った人を狙ってのアプローチは絶対に阻止しなければなりません。

ネットの利用者の身近には絶えず加害者となる危険が潜んでいます。自分は大丈夫だと思わずに常に警戒をして、闇バイトだと気づけば、警察に必ず相談をするようにして下さい。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

多田文明の最近の記事