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“美しすぎる女教師”にして“ワールドクラスの女神ボディ”を誇るアン・インソンとは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
アン・インソン(写真提供:SPOMAX/MUSCLE MANIA KOREA)

「筋肉女子」や「腹筋女子」に代表されるボディメイクブームが続いているなか、最近はその美ボディのみならず異色のキャリアに関心が集まる女性も増えている。

名門大学で心理学を教えるマッスル美女

例えば今月2日に行われた“健康美ボディ”日本一を競う大会『ベストボディ・ジャパン』では、女性アイドルグループ9nine(ナイン)の現役メンバーである吉井香奈恵や、フリータレント兼アパレル販売員の山崎夢倫さんなどが脚光を浴びていた。

韓国にも、異色の経歴が注目されている美ボディ女神はいる。西江(ソガン)大学で客員教授として心理学を教えるアン・インソンがその人だ。

(参考記事:「ワールドクラスだ!!」“美しすぎる女教師”アン・インソンが魅せたビキニグラビアが話題

西江大学は、韓国でも有名なカトリックのミッション系大学で、ソウル大学や高麗(コリョ)大学、延世(ヨンセ)大学らと肩を並べる名門大学として有名だが、その西江大学で心理学を教えているのだ。

昨今、日本と同じく韓国でも身体を鍛える女性が急増しており、“奇跡のDカップ女神ボディ”と称されるユ・スンオクなど、健康的で美しい“マッスル美女”が人気を集めていることは本欄でも紹介してきたとおりだが、そのなかでも、アン・インソンの経歴はかなりユニークだろう。

しかも、彼女はフィットネス大会での受賞歴も華々しい。

昨年9月に行われた韓国最高峰のフィットネス&ボディビル大会『マッスルマニア』では、フィットネス大会初出場にしてコマーシャルモデル部門とミズ・ビキニ部門で1位を獲得。

同年11月にアメリカ・ラスベガスで行われた『マッスルマニア』世界大会でも、コマーシャルモデル部門4位に入賞を果たしている。今年4月の『マッスルマニア』でも、ミズ・ビキニ・トール部門4位入賞を果たしたことからも、彼女がトレーニングに本気で取り組んでいることがうかがえるだろう。

そして、こうしたフィットネス大会での受賞を機に、現在はその異色の経歴に持ち前の美しいルックスも相まって注目を集めているわけだが、そもそもなぜ、彼女はボディメイクに取り組み始めたのか。

その本音が訊きたくて、ソウルでアン・インソンとインタビューを行なった。

ビキニは“努力を見せるため”のもの

「フィットネス大会で受賞してからは、周りの見方も変わりましたね」

手始めに、『マッスルマニア』での受賞後の周囲の反応について訊くと、こう切り出したアン・インソン。

大会に出場する前は、彼女を心配する声も多かったのだという。

「韓国は、しっかりとたくさん食べることを“良い”と見る文化がありますよね。そのため、大会前に食事制限を行っていると、“そこまでするのか”と言われることもありましたが、大会で受賞してからは、私の姿を見て運動を始める人も増えましたね。

それから、フィットネス大会を見る目も変わりました。というのも、大会前は、私が大学で学生を教えているため、ビキニ姿で身体を露出することも心配されていたんです。

でも、大会後は、どの見方も変わって、大会で着るビキニは決していやらしいものではなく、努力を見せるための衣装だとわかってくれるようになりました」

同じようなことを、以前にインタビューしたイ・ヨンファも言っていた。

日本の週刊誌やバラエティ番組にも登場したことのあるマッスル美女だが、イ・ヨンファは、「これ(ビキニ)をいやらしい目で見る人々は、単にトレーニングの経験がないのでしょう。実際にきつい運動をしてみると、ビキニを着ていてもその人のトレーニングに思いを馳せるだけです」と話していた。

(参考記事:週刊誌グラビアに『深イイ話』にも出演予定。日本進出“マッスル美女”イ・ヨンファとは?

“露出のため”ではなく、“努力を見せるため”の衣装であり、フィットネス大会である。アン・インソンらマッスル美女の知名度が高まるとともに、そんな認識が韓国で広まりつつあるわけだ。

アン・インソンも言っていた。

「思っていたよりも、ボディメイクは孤独なものです。一人でトレーニングと向き合わなければならないし、食事制限もしなければならないため、友人と食事に出かける機会も必然的に減ってしまいます。正直、寂しく思うときもありました。

でも、大会で受賞してからは、周りも私がやろうとしていることを理解してくれるようになりましたし、みんなが応援してくれています。当時の孤独な心境も、すべて報われた気がします」

自らを“実験台”にした研究

大会を通じて周囲の反応も大きく変化したと話すアン・インソン。

ただ、今でこそマッスル美女としてその名が知られているが、そもそも大学で心理学を教える彼女が身体を鍛え始めたのはなぜだったのか。

アン・インソンは、「心と身体の関係性を知りたかったんです」と口を開く。

「私は性格心理学が専門で、エニアグラムというコーチング方法を扱っています。簡単に言えば、自分の自身の性格を知り、人間関係がうまくいく方法を教えているのですが、ずっと気になっていたことがあったんです。

心理学では、心の状態は顔に表れると言われるのですが、それでは心と身体はどうつながっているのか、と。心を病んでいる人は身体も病んでいることが多いし、その逆もそうですよね。その関係性が知りたくなったんです。

そして、心と身体を健康にする方法を見つけだしたかった。最近は韓国でも、心の病気が増えていますし、自殺も絶えません。そういった人たちをしあわせにできる方法を研究したいと考えるうちに、思い立ったのが、まずは自分を実験台にしてみようということだったんです」

“アップルヒップ”が有名なソン・ソフィなどは、フィットネス大会出場者の健康美に憧れて運動を始めたと以前のインタビューで話していたが、研究のために身体を鍛え始めたというマッスル美女は珍しい。

実際にトレーニングを始めてみると、その“実験”ではさまざまな発見があったという。

「身体が元気になると、心もポジティブになることを知りました。例えば、憂鬱な気分のときは散策をしてみなさい、楽しいことをしてみなさいといいますが、それすら楽しめないときもありますよね。そういうときは、運動をして身体を動かすと、不思議と心も晴れるんです。

今もまだ勉強中ですが、少なくとも、心と身体は密接に関係している。そう確信しています。

この研究を進めるうちに、心や身体の不調で悩んでいるひとが多いこともわかったので、その悩みや苦しみを解決できる方法を見つけられるように、今後も研究を続けていきたいですね」

心と身体の関係性を知りたくて、トレーニングを始めたアン・インソン。ただ、当然ながら、その健康美は一朝一夕で作り上げられたものではないだろう。彼女がどのようにして現在の美ボディを作り上げたのか訊きたくなった。(つづく)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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