「通算800長打」の記念球が、それを打たれた投手の怒りを呼ぶ
6月6日、ジョーイ・ボトー(シンシナティ・レッズ)は、1回裏に二塁打を打ち、通算長打を800本とした。その内訳は、ホームランが335本、三塁打が22本、二塁打は443本だ。
800長打以上は、1477本のハンク・アーロンを筆頭に、120人以上が記録している。1000本を超える現役選手も2人いて、1373本のアルバート・プーホルス(セントイルス・カーディナルス)は歴代4位、1125本のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)は歴代17位に位置する。
ただ、レッズで800長打以上は、868本のピート・ローズに続く2人目だ(他チームで打った長打も含めると、ローズは1041本。ボトーはレッズ一筋)。また、カナダ生まれの選手も、ボトーの他には、916本のラリー・ウォーカーしかいない。
ボトーの打球は一塁手の左を抜け、ファウル・ライン際を転がっていった。そのボールがライトから二塁手を経由し、遊撃手に戻ってくるよりもかなり前に、ボトーは滑り込むことなく二塁に達した。
マウンドにいたマディソン・バムガーナー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は、遊撃手から受け取ったボールを、そのまま、次の打者に投げるつもりでいたらしい。ボトーが到達したマイルストーンの記念球であることに、気づいていなかったようだ。
球審に渡すように言われ、バムガーナーは何か叫びながら、ボールを球審に放った。さらに、球審がバムガーナーに投げた新たなボールを、これじゃないとでも言うように、三塁と本塁の間に向かって投げ捨てた。
その前から、バムガーナーは苛ついていたのかもしれない。ボトーの2人前の打者にホームランを打たれ、すでに1点を取られていた。
バムガーナーは、ボトーの次の打者を4球で歩かせ、その次の打者には、3球目をぶつけた。これによって生じた2死満塁のピンチは切り抜けたものの、2回裏に2点目、5回裏に3点目と4点目を取られ、黒星を喫した。
一方、バムガーナーと球審がボールをやりとりしている間、ボトーはその後方で、二塁の近くまで来ていた一塁塁審と談笑していた。こちらも、記念球の行方には無関心だったように見えた。