ダイソーで売っているiPhone用Lightning充電ケーブルとアップルの特許について
日経ITProの記事「100円ショップの"コスパ高デジタルグッズ"ランキング スマホ、パソコンに役立つ逸品をまとめた」で知りましたが、ダイソーで「iPhone5対応USB充電専用ケーブル」が100円で売ってるそうです。ご存じのようにアップルのLightningケーブルの純正品や認証済品は結構お高いので、これはうれしいですね。記事によればiPhone 6でも使えたそうです。
ダイソーの商品は充電専用(通信には使えない)で、本物のLightningケーブルとは違って刺す方向が決まっているそうです(コネクタの片面にUPSIDEという文字が書いてあって正しい方向がわかるようになっています)。Lightningケーブルの特徴であるどっち向きで刺しても使えるという特徴をカットしているわけですが、これは、コストカットに加えて、特許権の回避という要素もあるんじゃないかと思います。
アップルはLightningケーブルのコネクタの構造を特許化しています(参考弊所ブログ記事)。米国では、US8647156、US8573995、US8708745で登録されています。日本では、日本ではPCT出願の国内移行が特願2013-512061(「外部接点を有する二方向性コネクタ」)が現在審査中です。特許を押さえているのでアップルのライセンスがなければ(少なくとも米国では)Lightningケーブル互換品の製造・販売はできず、これがサードパーティ製品の価格を押し上げる要因のひとつになっていると思われます。
しかし、いずれの特許もどちらの向きで刺しても使える(少なくともプラグの両面に接点を備える)ことが構成要件になっているので、一方向でしか使えない構造であればこれらの特許権を侵害することはないと思われます。おそらく設計・製造は中国企業だと思うのですが(現物が手元にないの確実ではないです)なかなか知恵を絞っているなと思います。
普通にマイクロUSBにすれば良いのに、コネクターを独自仕様にしてしかも特許権で縛るというアップルのやり方は、企業の知財戦略としては真っ当なのかもしれませんが、一消費者としてはちょっと疑問なので、この充電ケーブルは是非買ってみたいと思います(もちろん自己責任で)。