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シーズン後半戦勝率は驚異の.850!8月は未だ無敗を続けるドジャースに期待したいMLB年間最多勝記録

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ドジャース加入後好投を続ける元日ハムのクリス・マーティン投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【今季最長の10連勝で勝率7割に乗せたドジャース】

 シーズン前半戦で快進撃を続けていたヤンキースが8月に入り大失速する中、今度はドジャースが後半戦に入りハイペースで勝利を積み重ねている。

 現地時間の8月10日に行われたツインズ戦に8対5で勝利し、今シーズン最長の10連勝を飾っている。これにより8月は未だに無敗を続け、シーズン成績は77勝33敗となり、とうとうシーズン勝利を.700まで上げることに成功している。

 シーズン後半戦全体でも.850と驚異的な勝率を続けており、2001年にマリナーズが樹立した年間最多勝利数116に並ぶのも、決して夢物語ではなくなってきた。

【快進撃を支える強力重量打線】

 現在のドジャースの快進撃を支えているのが、強力重量打線だ。この10連勝中もチーム平均得点は驚異の7.0点。それを裏づけるように、8月の月間打率は.302と、まったく手がつけられない状態だ。

 シーズン前半戦は打撃不振が続いていたコディ・ベリンジャー選手やマックス・マンシー選手が8月に入り復調傾向にある他、負傷のため戦線離脱していたクリス・テイラー選手が復帰し、ドジャース本来の打線が完成しようとしている。

 もし仮にドジャースがシーズン終盤まで勝率.850ペースを維持するとしたならば、残り52試合で44勝できる計算になり、2001年のマリナーズに追いつくどころか超えてしまうことになる。

【主力クラスが次々に復帰予定の先発投手陣】

 野球界に「打撃は水物」という通説があるように、ドジャース打線が現在のような好調をシーズン終盤まで維持できると思わない。だがシーズン終盤を占う上で、ドジャースには好材料しか揃っていないのだ。

 実は現在でもチーム防御率がMLBトップの2.89を誇る投手陣に、さらなる強化が期待されるからだ。

 まず先発投手陣は、現時点でフリオ・ウリアス投手、タイラー・アンダーソン投手、トニー・ゴンソリン投手の3本柱が揃っているところに、負傷者リスト(IL)入りしているクレイトン・カーショー投手、ウォーカー・ビューラー投手、ダスティン・メイ投手が数週間以内に復帰する見込みなのだ。

 カーショー投手とビューラー投手はこれまでドジャースの先発投手陣を支えてきた存在だし、メイ投手は昨年トミージョン手術を受けたことで長期離脱を余儀なくされたが、160キロ前後の球速を誇る豪腕右腕投手で、将来のドジャースを支える投手として期待されている。

 彼らの復帰により、ドジャースの先発投手陣は間違いなくMLB最強になるだろう。

【貴重な戦力になった新加入の元日ハム・マーティン投手】

 中継ぎ投手陣も同様のことが言える。

 まずトレード期限日前にカブスから獲得したクリス・マーティン投手が、移籍後フル回転の活躍を続けている。7月29日にトレードが成立し、翌30日に戦列に加わってからというもの、ここまで5試合に登板し、2勝0敗、防御率1.80と即戦力ぶりを発揮している。

 中継ぎ投手陣も負傷のため戦線離脱者が相次いだが、昨シーズンは勝利の方程式の一角を担っていたブレイク・トレイネン投手が9月早々に復帰できる見込みの他、昨シーズン44試合に登板しているビクター・ゴンザレス投手も8月中に復帰できそうだ。

 さらに今シーズン29試合に登板し、左ヒジ炎症で8月6日にIL入りしたばかりのイェンシー・アルモンテ投手も軽症のようで、早期復帰が期待されている。

 このように、打線に続き投手陣までもがさらにアップグレードしていきそうなのだ。むしろドジャースの勢いがさらに増してもおかしくはない状況なのだ。

【気がかりは地区優勝決定後の戦い方】

 好材料ばかりが揃うドジャースでも、さすがにシーズン終盤まで勝率.850ペースを維持するのは難しいだろう。

 また地区優勝争いでは2位パドレスに16.0ゲーム差つけており、早々に地区優勝を決めることになる。地区優勝決定後はポストシーズンまでの準備期間になるので、ドジャースの戦い方も変わっていくことになるだろう。そうなればあまり勝利にこだわらなくなる可能性がある。

 ただ以前なら9月のロースター枠拡大に伴い、40人枠の選手なら何人でも昇格させることができたが、現在は28人に制限されているため、完全に消化試合にシフトするのは難しくなっている。

 いずれにせよ9月中旬辺りで年間最多勝記録が射程圏内にあるようなら、ドジャースも本気で狙いにいくと期待したいところだ。

 シーズン後半戦に新たな楽しみができた。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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