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「マダックス効果」はあるのか。8年ぶりに球団復帰の投手コーチは、殿堂投手の兄

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・マダックス Mar 15, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 11月23日、テキサス・レンジャーズは、マイク・マダックスの投手コーチ就任を発表した。

 グレッグ・マダックスではない。5歳上の兄だ。彼らはどちらも右投手だったが、弟が4年続けてサイ・ヤング賞を受賞し、殿堂入りもしているのに対し、兄はオールスター・ゲームに選ばれたこともない。もっとも、グレッグと比べれば、ほとんどの投手のキャリアは見劣りがする。兄も、まったく成功できなかったわけではなく、主にリリーバーとして、メジャーリーグで15シーズンにわたって投げた。

 また、兄が投手コーチとしてメジャーリーグで過ごした期間は、すでに選手時代よりも長い。2003年から一度も途切れることなく、投手コーチを務めている。2003~08年がミルウォーキー・ブルワーズ、2009~15年がレンジャーズ、2016~17年がワシントン・ナショナルズ、2018~22年はセントルイス・カーディナルスだ。レンジャーズには、8シーズンぶりの復帰ということになる。

 今世紀の各シーズンにおける、レンジャーズの防御率とリーグ順位は以下のとおり。右半分は、マダックスが投手コーチを務めたチームの防御率とリーグ順位だ。

筆者作成
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 マダックスがレンジャーズの投手コーチだった7シーズンのうち、最初の5シーズンの防御率はリーグ8位以内にランクインした。なかでも、2010~13年の4シーズンは、防御率3点台を記録している。今世紀に入ってから、防御率4.00未満のシーズンは、他に皆無だ。もちろん、投手陣の顔ぶれなどにもよるが、マダックスが投手コーチを務めた他チームも、防御率がいいシーズンは多い。

 来シーズン、レンジャーズで指揮を執るのは、ブルース・ボウチーだ。1ヵ月前の監督就任時に「同じチームで「投手と監督」だった2人が「GMと監督」としてタッグを組む」で書いたとおり、これまでにボウチー監督の下でポストシーズンに進出した延べ8チームは、いずれも悪くない防御率を記録している。ボウチー監督とマダックス投手コーチの組み合わせは、フィットしそうに見える。

 ただ、現時点におけるローテーションのトップ3は、ジョン・グレイマーティン・ペレスジェイク・オドリッジだ。今オフ、ペレスはFAとなったが、クオリファイング・オファーを受け入れた。オドリッジはトレードにより、アトランタ・ブレーブスから加入した。これからも補強はあるはずだが、ポストシーズンをめざすにはまだ物足りない気がする。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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