大セール「ブラックフライデー」、過剰消費社会にIKEAノルウェーなどが反発
11月第4金曜日に行われる米国発の大セール「ブラックフライデー」が近づいている。
22日、ノルウェーの通信社NTBによると、スウェーデン発の家具量販店IKEAのノルウェー店が、今年はブラックフライデーを開催しないと発表した。
環境に優しい(?)グリーン・フライデー
ノルウェーでもブラックフライデーは毎年話題を集めるが、人々が長い行列に並び、互いを押し倒し、安物買いをして、無駄な消費を増やす傾向に「アンチ」の動きも目立っている。
「どうしても買い物をしたいのであれば、ヴィンテージを買おう。互いに無料でモノを交換しあおう。ブラックフライデーに振り回されず、ゆったりとした自分の時間を過ごそう」というような、「グリーン・フライデー」も各地で開催されるようになってきた。
ノルウェーでは大企業にブラックフライデーをしないでほしいと、市民がSNSなどでお願いすることもある。とはいえ、ブラックフライデーを今更やめようというのは、企業にとっても悩みどころだ。
IKEAノルウェーは「ネジで今ある家具を引き締める日」を提案
「ブラックフライデーは私たちのコントロール不可能なところにまできてしまいました。そろそろ私たちの気を引き締める頃です。私たちは365日、モノを大事にしようとしていますが、ブラックフライデーのような一部の日には、買わなければいけないという圧力が巨大化します。そこで、私たちは新しいものを常に買う必要はないということを思い出してもらうために、モノを修理するというキャンペーンをおこないます」と、IKEAノルウェーのサステイナブル・チーフであるレナルトソン氏は話す(NTB通信社)。
IKEAノルウェーはブラックフライデーの日に、ねじを締めるために使う六角レンチの配布、ねじなどが緩んだ家具を締めにくるパトロールの派遣、「家でもどこでも、あなたも自分で家具を修理できますよ」と呼び掛けるキャンペーンを行う予定。
産業団体Virkeの調査によると、昨年だけでノルウェー人はブラックフライデーに33億ノルウェークローネを使い、今年はさらにその数字を上回るとされている。
増加する買い物ストレス
ノルウェーでは家族などにクリスマスプレゼントを大量に買う伝統がある。買い物をしなければいけない「クリスマス・ショッピング」という言葉は、「ストレス」も意味するようになっている。
現地メディアは過熱するブラック・フライデーに警報を鳴らすニュースを伝えるようになった。
セールでは実際は安くないモノ、不必要で質の悪いモノもあるため、「賢い買い物」とは限らない。店側にとっても商品価格を下げすぎることはプラスにならないなど、専門家の意見を多く掲載する。
参考例:国営放送局NRKの風刺動画
「ブラックフライデーは道徳的に全ての人に合うわけではない」とクリスチャニア単科大学のタンゲン学長はアフテンポステン紙に話す。
Text: Asaki Abumi