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4階級制覇のエイドリアン・ブローナーが判定勝ちで再起。しかし……

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 WBOスーパーフェザー、WBCライト、WBAウエルター、WBAスーパーライトと4階級を制し、2019年1月19日にマニー・パッキャオの持つWBAウエルター級タイトルに挑んだエイドリアン・ブローナー(31)が、2年のブランクを経て、再起した。

 パッキャオ戦で判定負けし、引退をアナウンスして以来のファイトだった。

Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 ブローナーは自ら試合を組み立てようとしなかった。ジョヴァ二―・サンティアゴの動きを観察し、捌き、反撃するといった展開に終始した。

 復帰戦の相手に選ばれたサンティアゴ(31)は、14勝(10KO)無敗1分けのプエルトリカン。祖国であるプエルトリコやドミニカで勝利を重ねていたが、アメリカ本土で試合をするのは初めてである。戦績は立派だが、その動きから世界王座とは無縁であることが分かった。

Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 元チャンピオンは、噛ませ犬を圧倒できない。サンティアゴを見過ぎており、手数も少ない。積極性を見せたのは、サンティアゴであった。が、これといった決め手の無いプエルトリカンもリングを支配できず、試合は凡戦となっていった。

 12回フルラウンド戦って、元チャンピオンが放ったパンチは438、ヒット数は98。サンティアゴのそれは697分の207。

 結局、117-110、116-111、115-112 の判定でブローナーが勝者となる。彼は戦績を34(24KO)勝4敗1分けとしたが、感じさせたのは衰微である。

Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 2017年2月18日以来の勝利を飾ったブローナーは、言った。

 「いい気分だね。14勝無敗というレコードが示すように、サンティアゴがタフであることは理解していた。家に帰ってゆっくり試合の画像を見たい。2年のブランクを作ったが、勝利を確信していた。

 ジャブが勝利の鍵だった。勝者として自分の腕が上げられるのは気持ちがいい。ジムに戻り、年内に140パウンド(スーパーライト級)のベルトを巻けるようにやっていくよ」

Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 しかしながら、このファイトを放送したSHOWTIMEの採点は114-113でサンティアゴの勝ちとしていた。

 エイドリアン・ブローナーは、暴行や傷害等で何度も手錠をかけられている男である。ボクシングに集中することが出来るであろうか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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