【河内長野市】令和の行商は南海電車のプロジェクト!河内長野の新鮮な農産物を電車で運んで難波駅で販売。
昔は農産物や魚介類を列車で運ぶ行商の人がいましたね。行商列車と呼ばれる鉄道を使って、行商人が都会の街まで特産品を運んで、販売していました。ここまで書くと、それは過去の話で、歴史上のエピソードだと思うかもしれません。
しかし、南海高野線ではNANKAI FARMERS' MARKET(外部リンク)と呼ばれる「令和の行商」と言うべき農産物の輸送を行っています。さらに驚いたことに河内長野の農産物を大阪市内の難波まで運んで販売しているというのです。
とても気になった私は、南海電鉄に問い合わせて同行取材させていただくことにしました。
南海三日市町駅前です。南海電鉄の担当者の方とはここで待ち合わせました。このプロジェクトは同社の共創事業部が担当しており、農業が盛んな南海高野線沿線の農産物を大阪市内に運んでお客様に喜んでもらおうという趣旨のもの。
トラックで運んでもよさそうですが、トラックはCo2排出の問題があり、それ以上にせっかく電車があるのだから電車で運んだほうが良いとなったそうです。電車であれば渋滞知らず、定刻通りに運べるというメリットもありますね。
15:50、三日市町駅に難波からの区間急行が入ってきました。この車両には、農産物を運ぶケースと担当者が乗っています。
通常は浅香山駅前にキャンパスがある関西大学人間健康学部の学生が輸送と販売を行っていますが、この日はあいにくのゼミのため作業ができないということで、特別に南海の関係者の方が担当していました。
というわけで、まずは三日市町駅に到着した農産物を運ぶケースと担当者を迎えます。
NANKAI FARMERS’ MARKETは、河内長野と和歌山の橋本からの農産物を電車に乗せて難波駅に運んで販売するプロジェクト。
今年の3月から試験的に何度か行っているこのプロジェクトはお客様からも大変好評で、リピートしてくださる方も多いとのこと。
駅の改札から担当者が出てきました。
台車に乗って折りたためられているケースはこのまま下に降りて、農産物がふんだんに入ったケースと入れ替わります。
エレベーターで下に降ります。
先回りします。エレベーターから出てきました。
三日市町駅のロータリーでは、JA大阪南の方が農産物を積んで待っていました。
車の中には農産物が入っています。
空で折りたたんだケースと農産物の入ったケースを入れ替えます。
ここで空のケースと、農産物が詰まったケースとを入れ替えます。
ブドウが入っていますね。河内長野は野菜に加えて果物が名物。河内長野の果物と言えば、河内長野警察署のキャラクターようじくんも手にしている小山田の桃です。
もちろん、小山田の桃もケースに入っていて、河内長野から大阪・難波に向かいます。
農産物はJA大阪南の奥河内くろまろの郷にある「あすかてくるで」さんから運ばれます。具体的な農産物のセレクトについてはJAさんに一任しているとのことで、旬のおすすめ農産物が入っているわけですね。
ちなみに橋本からの農産物は、橋本市高野口町に本店がある「JA紀北かわかみ」さんから運ばれています。
農産物の入ったケースを台車に載せ、しっかりと固定していきます。
ケースの上には、NANKAI FARMERS’MARKETのロゴが入った布がかけられました。
最初はケースを覆うためにこれを使っているのかとばかり思っていましたが、難波に到着してから意外な利用をしていることがわかりました。
こちらが三日市町駅まで農産物を運んだ、JA大阪南ファーマーズ部の三浦学部長です。
こうして無事に河内長野の農産物がセッティングされました。
南海三日市町駅では、難波方面のホームは上がる必要がありません。近くの住宅地からバスに乗った通勤客もそのままこの改札を通って難波方面に行けるので大変便利ですね。
さあ、いよいよ農産物と果物が一杯に詰まったケースが改札の中に入っていきます。
このように小山田の桃と書かれた箱も河内長野・三日市町駅から電車に乗って大阪・難波に向かいます。
後をついていきましょう。すでに三日市町駅始発の16:15発難波行き急行電車がホームに止まっています。
難波行き急行です。
行き先表示板を撮影しましたが、失敗しました。16:15発と書いてあります。
NANKAI FARMERS’MARKETの台車は先頭車両を目指します。乗客の邪魔になりにくい先頭車両の運転席のすぐ後ろのドアの横に置かれます。
先頭車両を目指します。いつもの三日市町駅のはずですが、後から見ていると不思議と旅情気分を感じてしまいました。
台車を車両に入れる前にスロープ板をセットします。普段は車いすをご利用の方が利用するものですね。
いよいよ河内長野の農産物が難波に向かって鉄道旅をします。
先ほども触れましたが、このように乗客の邪魔になりにくい先頭車両の運転席のすぐ後ろの扉につけます。後で知りましたが、この扉は終点の難波まで開くことはありませんでした。
無事に設置したところです。
三日市町駅から先に続く線路が見えます。当たり前ですがこの先に難波駅があるわけですね。
16:15いよいよ三日市町駅を出発します。
移動中は台車ブレーキで動かないように固定して、台車の上で商品POPを作成していました。
16:17三日市町駅の次の駅、河内長野駅に到着しました。
河内長野駅は南海高野線プラス近鉄長野線のホームも遠くに見えます。
16:22に金剛駅に到着しました。ここは富田林市と境を接している大阪狭山市ですね。
16:26に北野田駅に到着。あっという間に堺市内に入りました。
担当者同士商品POPと伝票を読み上げながら、確認が終わったのがちょうど中百舌鳥駅のあたりでした。
16:35に堺東駅に到着した時にはすべての準備が終わり、後は難波駅到着を待つばかりという状況です。
堺東駅です。ここから大和川を越えればいよいよ大阪市内ですね。
大和川を越え大阪市内に入り、16:42に天下茶屋駅に到着しました。
16:44に新今宮駅に到着しました。
新今宮駅の次は終点難波駅です。
16:47、ついに難波駅に到着しました。
いよいよ農産物と果物が入った台車が電車から外に出ます。
出るときも、入る時同様にスロープ板を使います。
販売場所は難波駅の2階です。
台車は専用の荷物搬入口から2階に向かいます。
というわけで先回りして先に2階の販売場所に向かいました。
難波駅2階の販売コーナーに無事に到着しました。
農産物に加えPOPなども用意されています。
そしてこちらです。農産物が入ったケースを覆っていたNANKAI FARMERS’MARKETのロゴが入った布は今度は販売用の台の上に架けられています。一石二鳥ですね。
小山田の桃も難波に到着しました。小山田の桃の味のレベルは和歌山のあら川の桃と遜色ないと思われる名産品ですが、何分生産量が少ないため地元での消費で終わってしまい、市外になかなか出てきません。
河内長野のJA大阪南では、この時期、専用販売コーナーができますが、地元の人が開店前から行列を作り、早々に完売してしまうほどの人気の桃です。
この小山田の桃が大阪市内で販売するのは極めて異例と言えるほど、貴重なこと!
農産物のほうを見てみましょう。ここに見たことのあるロゴがありますね。
これは富田林の西板持にあるナカスジファームさんです。厳密には河内長野ではありませんが、あすかてくるでさんで扱っていることと、富田林も農産物の名産地。生産地的に河内長野に近いので一緒にあって販売されても違和感はありません。
それよりも知っている農家さんのロゴが、難波で見られるほうが驚きでした。
担当者により棚が設置され、順番に農産物が陳列されていきます。橋本からの農産物は遅れて到着しました。
陳列作業が続いていますが、すでに様子を見に来ているお客様の姿が見えてきました。
一応すべての陳列が終わってから販売開始ですが、待ちきれない方は予約するように籠に詰めていました。
リピーターの方でしょうか、それだけ人気なんですね。
小山田の桃の説明と食べ方の説明が書いてあります。となりのデラウェアもおいしそうですね。
ナカスジファームさんの農産物はエンサイです。空心菜と言う名前のほうが有名ですね。
このほかにもオクラやトウモロコシ、トマトなどが販売されています。
面白いのは決済方法です。現金不可というもの。現金のみというパターンはありますが、これは珍しいですね。ご購入の際はご注意ください。
こうして無事に陳列が終わりました。
さて、値札が白と黒の2種類ありますが、白い値札が河内長野から来た農産物・果物で、黒い値札は橋本から来たものです。
時間になりましたので販売が始まりました。先ほどの方が一番客としてレジに並んでいます。
見ると次々と農産物を手にレジに向かっています。早くも行列ができてしまいました。
袋にたんまりと農産物や果物が入っています。
少し離れたところから撮影しました。黒山の人だかりという言葉がぴったりですね。
開始してから1時間近くが経過しました。先ほどの黒山の人だかりの方々の後は、あっという間に品薄になりました。
すでに小山田の桃が無くなっています。
ということで、三日市町駅から運ばれた河内長野の農産物を大阪市の難波駅まで運んで、駅の2階で販売している様子を取材しました。
これを機会に河内長野の良さが多くの人に知られ、私のように引越しをする人が現れるかもしれませんね。ちなみに私はせっかく大阪の都会に来たので、この後少し寄り道して帰りました。
三日市町駅
住所:大阪府河内長野市三日市町1125
アクセス:南海三日市町駅から徒歩すぐ
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