前年比で1476円減少の3万9081円…2024年の男性会社員こづかい事情
日本の就労者の就業職種のうち少なからぬ割合を占める会社員における生活様式は、それらの人々自身はもちろん、日本の社会全体の状況を推し量る一つの指標となる。SBI新生銀行では毎年1回、この会社員などの日常生活に関する調査「会社員のお小遣い調査」(※)を行い、その結果を報告書として発表している。今回はその最新版にあたる、2024年6月に発表した「2024年会社員のお小遣い調査」の結果などを基に、直近、そして近年における男性会社員のこづかい事情を確認する。
直近分も含むここ数年における、回答者年齢階層別の男性会社員のこづかいの実情は次の通り。
全体としては前年から転じて減少の動きを見せ、前年比マイナス1476円の3万9081円。結果報告書では「昨年は2010年以降、二度目の4万円台となりましたが、上昇トレンドとならず、今年は以前の水準に戻り4万円を下回っています」と説明している。後ほど示す中長期的なグラフからも分かる通り、調査の限りでは2011年以降はほぼ横ばいを維持しており、2024年の前年比での減少も、誤差領域の動きとの解釈ができる。
金額そのものは50代がもっとも大きく4万3453円、次いで20代の4万373円、30代が3万6196円、そして40代の3万6089円と続いている。
前年比では50代で増加、20代と30代、40代で減少。特に50代の増加度合いと、20代の減少度合いが大きい。
20代は前年に前年比9661円の増加と大幅な増加を示していたため、その反動があったのだろう。50代の大幅増加については、前年からの反動ではなく、イレギュラーな感が強い。
数年来続いていた傾向だが、20代から50代の男性会社員では、給与が一番少ないはずの20代ではなく、30代か40代の中年層が一番、こづかいの額面では小さな値を示している。子供がいる世帯が多く、家計内でのやりくり事情の影響だろう。2024年では30代と40代がほぼ同じ額で、年齢階層別では小さな額となってしまっている。
既婚と未婚で区分すると未婚者の方が平均こづかい額は高い。グラフ化は略するが、未婚者全体では4万5779円、既婚で子供無し・共働きでは3万8913円、既婚で子供あり・専業主婦では3万1993円にまで額が減る。同時に付き合いも増え半ば強制的な出費もかさむこの年齢階層には、お財布事情が厳しい時代のようである。
いくぶん余談ではあるが、公開されているデータを基に、毎年の男性会社員のこづかい状況の推移と、日経平均株価(年末の終値、2024年は7月5日終値)をかぶせると次のようなグラフが完成する。
グラフの形状、さらには過去の報告書でも指摘されていたが、1991年以降のバブル崩壊後においては、男性会社員の平均こづかい額は日経平均株価に1年から2年遅行する形で連動する動きを示していた。これはまさに景気対策・政策の実行と、その成果が民間ベースにまで浸透するタイミングと近いもので、興味深い傾向でもある。
もっとも2011年以降は日経平均株価が上昇傾向にあるにもかかわらず、男性会社員の平均こづかい額はほぼ横ばいの傾向に。連動性が薄くなったのには、何か理由があるのだろうか。子育ての経費がかさむようになった、男性会社員の世帯内での社会的立ち位置が弱くなった、例えば携帯電話代のようなこづかいとは別あつかいの別の支出が家計から生じている、色々と理由が考えられる。
2024年においては前年と比べて株価は上昇、つまり経済そのものは堅調さを見せていることになる。こづかい額は前年から減少。両間で連動はしていない。それどころか2024年の値はまだ年中のもので今後どうなるかは不明だが、暫定的に記録の中でははじめて、日経平均株価が会社員のこづかい額を上回ることとなってしまった。
こづかい額が減った理由を見ると(グラフ化は略)、「給料が減ったから」「副業を止めたから」「投資などを止めた・損をしたから」が上位を占めている。給料ダウンはともかく、副業や投資については、色々と考えさせられる話ではある。
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※会社員のお小遣い調査
直近年分となる2024年分は2024年4月12日から15日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2718人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料で多くを占める会社員は男性1252人・女性842人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数を基にしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が45.3対54.7、女性は56.7対43.3。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。