アマゾンがまた新たなストアを立ち上げ、今度は手作り作品扱う「Handmade」開設へ
米シーネットなどの海外メディアの報道によると、米アマゾン・ドットコムは「Handmade」と呼ぶ新たなオンラインストアを開設する準備を進めている。
このストアでは、その名のとおりハンドメイド作品を取り扱う。同社はすでに、商品を制作し、インターネットで販売する個人やプロの作家、アーティスト、職人などにコンタクトをとっているという。
競合サービスの出品者にアプローチ
この分野の企業では、先頃米ナスダック市場に上場した米Etsy(エッツィー)が有名だ。Etsyは、衣服などのアパレル、ジュエリーなどの手工芸品、イラストや彫刻といったアート作品などを売買できるオンラインのマーケットプレイス。
報道によると、アマゾンは先週、Etsyの出品者に対し電子メールを送付したという。メールではアマゾンのアンケートページにアクセスするよう案内しており、そのページには「我々は現在新しいストアを準備中です。以下のフォームに入力して最新情報をお受け取り下さい」などと書かれていた。
アンケートフォームには、「アパレル」「ホーム&キッチン」などの作品カテゴリーの選択項目があり、さらに「家具」「アートワーク」「ガーデン&テラス」といったサブカテゴリーの選択欄もあったという。
上場間もない「Etsy」に強力なライバル
ウォールストリート・ジャーナルによると、アマゾンは同紙の取材に対しコメントしておらず、同社がいつこの新サービスを始めるかは分からない。しかし、数々の競合小売業者を打ち負かしてきたアマゾンの次ぎのターゲットがEtsyになったことは確かなようだと同紙は伝えている。
この新サービスが始まれば、Etsyは新たな課題に直面することになると同紙は指摘している。
Etsyの創業は2005年。本社は米ニューヨーク市にあり、現在の従業員数は約700人。同社が米証券取引所に提出した書類によると、昨年の年間売上高は1億9560万ドルで、前年から56.4%増加した。また1年前1530万人だった商品購入者の数は2080万人に増えている。
しかしこれらEtsyの利用者数は、アマゾンのアクティブアカウントである2億7800万人と比較すると規模が1桁小さい。このためアマゾンの新サービスへの出品を検討しているEtsyの出品者は少なくないという。
外部小売業者の事業拡図るアマゾン
なおアマゾンについてはここ最近、コネクテッドホーム関連の事業に力を入れていると報じられたが、同社は外部小売業者の取り込みにも注力している。
アマゾンが今年1月に公表したリポートによると、同社と提携する小売業者の数は世界100カ国以上に200万社以上あり、商品は世界185カ国の顧客に販売されている。その販売個数はアマゾンの全商品販売の40%超を占めるという。
アマゾンがこうして外部業者事業に力を入れるのは、利益の向上が目的と言われている。同社は販売手数料として販売価格の10〜15%を外部業者から受け取っているが、これは同社自らが商品を仕入れて販売するよりも高い利益率となっている。
そうした中、アマゾンはこの分野の事業拡大を急いでいる。
今年は、新進気鋭の起業家や発明家が手がける商品を販売する「Amazon Exclusives」や、家庭向けの様々なサービスを仲介する「Amazon Home Services」などを始めた。
先頃はホテル事業者がアマゾンのサイト内に専用ページを設けることができる宿泊予約サービス「Destinations」を米国で始めたと伝えられた。
(JBpress:2015年5月26日号に掲載)