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イランの神風ドローン「シャハド」ロシアで製造開始か?ウクライナ軍が撃破した破片にロシア語「Ы」

佐藤仁学術研究員・著述家
「Ы」で始まるシャハドの破片にある番号(MAKS23提供)

ロシア軍は2022年10月からイラン政府が提供した標的に向かって突っ込んでいき爆発する、いわゆる神風ドローンの「シャハド136(Shahed136)」、「シャハド131(Shahed131)」で首都キーウや主要都市を攻撃して、国際人道法(武力紛争法)の軍事目標主義を無視して軍事施設ではない民間の建物に攻撃を行っている。

2023年7月になってもイランの神風ドローン「シャハド」による奇襲はほぼ毎日続いており、ウクライナ軍も迎撃して破壊している。そのためイランの軍事ドローン「シャハド」の破片や残骸の写真がSNSなどで公開されることは珍しくない。今までは「シャハド」に掲載されていた番号は「M205」、「M214」、「M1062」がほとんどだった。だが2023年7月に破壊された「シャハド」の破片にある番号は「Ы002」とロシア語の文字「Ы」から始まっていた。そのため、イランの神風ドローン「シャハド」がロシアで製造開始されたのではないかとウクライナのメディアで報じられていた。

2023年1月に英国のメディアITVが、ロシア政府が現在イランで製造されている軍事ドローン「シャハド」シリーズをロシア国内で製造することを検討していると報じていた。ITVによるとロシア政府の高官が中央ロシアの工業都市でイランの軍事ドローンを開発、製造すると語っていたと報じていた。

「シャハド」はイランで製造されてロシアに納入されていたが、ロシアで製造されるようになったのであれば輸送コストも削減されるし、製造したらすぐに戦争で使用することができる。

ロシアではロシア製の監視・偵察ドローン「Orlan-10」、「Eleron-3」などを製造している。また、イラン製軍事ドローン「シャハド」と同じような「KUB-BLA」や「ZALA KYB」などロシア製の神風ドローンも既に製造して、ウクライナ軍への攻撃に使用している。

神風ドローンと呼ばれる軍事ドローンは爆弾を搭載して標的に向かって突っ込んでいき爆発するだけである。そのため神風ドローンの開発や製造は大型ミサイルや戦車のように複雑でもない。またそのような大型で精密な兵器と比べると開発、製造するのにコストも時間もかからない。工場にラインを設置して必要な部品が揃えば組立てて製造することができる。ロシアには既に攻撃ドローンを開発するノウハウを持っている企業も多いので、「シャハド」シリーズをロシア国内で開発するのも決して難しいことではない。

▼ロシア語の文字「Ы」から始まる番号が付いている「シャハド」の破片

▼深夜にキーウで破壊されるイランの軍事ドローン

▼イラン製軍事ドローン「シャハド136」

▼ロシア国内でイランの神風ドローンの工場を設置して製造することを報じる英国のメディアITV

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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