まだ続く暖冬&少雪 渡り鳥の北帰行にも影響か
毎年冬になると、白鳥やマガンなどの渡り鳥がシベリアから日本にやってきます。
宮城県もそうした渡り鳥の越冬地で、特に県北にある伊豆沼・内沼は毎年数万羽のマガンが訪れる一大飛来地になっています。
このマガン達は毎朝、黄金色に輝く太陽が昇り始めるのと同時に一斉に沼から飛び立ちます。数万羽のマガンが鳴き声とともに羽ばたく壮大な光景は環境省の「残したい日本の音風景100選」にも選ばれている美しさです。
ただ今シーズンの暖冬は、このマガンたちの行動にも影響を及ぼしそうです。
記録的に少ない雪が北帰行を早める
毎朝マガンたちが日の出と共に飛び立って向かう先は、宮城県内の田んぼです。刈り取りが終わった田んぼには落ち穂が大量にあり、それを冬の間の食料として彼らは越冬しています。
そして宮城県で冬を過ごしたマガンたちは、雪解けが始まる時季になると徐々に北へと移動して、秋田などでも落ち穂を食べつつやがてシベリアへ帰ります。いわゆる北帰行です。
この北帰行が、暖冬により例年より早まる可能性があります。
図はきょう16日現在の積雪を平年と比較した図です。全国的に真っ青=平年より大幅に少なくなっています。
今シーズンは気温が高いだけでなく、寒気が弱いことで日本海で雪雲が湧くことも少なく、全国的に極めて雪の少ない状況が続いています。
日本海側の秋田市でさえ、きょう18時現在で雪は1センチも積もっていません。この雪の少なさがマガンの北帰行に影響してきます。
宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団によると、そもそもマガンたちは、冬至を過ぎて昼の時間が長くなり始めると北帰行の“スイッチ”が入るそうで、食べ物さえあるならば少しでも早く北に帰ろうとするそうです。
例年であれば、東北北部は田んぼが雪に覆われて食料にありつけないため、スイッチが入ってもすぐに北帰行が始まるわけではありません。ただ今年は東北北部でも雪が少ない=田んぼの落ち穂を食べられる状況なので、例年であれば2月上旬に始まる北帰行が早々に始まるのではないかとのことでした。
この先も暖冬傾向続く
きょう気象庁が発表した1か月予報を見ても、一時的には寒気の流れ込む時季もありそうですが、やはりこの先も気温は平年より高く、日本海側の雪は平年より少ない状況が続く予想です。
今シーズンの大規模な暖冬&少雪により、今年は早々に宮城県からマガンが去ってしまうかもしれません。