ラマダン中に酷暑44℃、パキスタンで死者多数 暑さは今後も続く
コンクリート・ジャングルーー。パキスタンの最大都市カラチは、林立した無機質な建物が、まるで木々のように立ってジャングルのように見えることから、このように呼ばれることがあります。
緑の消失と人口の急増でヒートアイランドが著しいこの都市で、21日(月)気温が44℃まで上昇し、65人が亡くなったと伝えられています。
この時期の平均最高気温は35℃ですから、それを約10℃も上回る暑さでした。22日(火)も43℃まで上昇し、24日(木)にかけても40℃以上の高温が続く予想が出ています。
(↑熱波に注意を呼びかけるパキスタン政府)
被害拡大の原因
多くの被害者が出た理由は、停電が発生していたことに加え、ラマダンの時期と重なったことが挙げられます。
今年のラマダン開始日は5月16日で、イスラム教徒の人々は日が出ている時間帯に水を含む飲食が禁止されています。カラチは海に面し湿度も高いため、体感温度は50℃をゆうに超えていたと考えられますから、この状態での飲食禁止が熱中症にかかりやすい状況を作っていたと考えられます。
2015年の大熱波
2015年6月にも、ラマダンと熱波が重なり、甚大な人的被害が出たことがありました。この年のラマダンは6月18日に始まりました。カラチではその2日後に気温が45℃まで上がり、パキスタン南部で1,300人が死亡したと伝えられています。
パキスタンで最も暑い時期は、雨季(モンスーン)の始まる前の5月から6月です。2015年も今年も、ラマダンと暑い時期がぴったり重なっていたのです。
続く記録的高温
今年パキスタンでは記録的な暑さが続いています。
南部のナワブシャでは3月後半に45.5℃まで気温が上がり、国内の3月の気温の記録を更新しました。さらに4月には同市で気温が50.2℃まで上がり、国内の4月の最高気温の記録を塗り替えたばかりでした。しかもこの記録は、全世界における4月の最高気温記録である可能性もあります。
気温を下げる雨の到来が待ち望まれますが、パキスタンの雨季の平年開始日は7月中頃です。ラマダンは6月14日まで続く上に、あとふた月は気温が高い状態が続くことから、被害の拡大が心配されます。
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