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パキスタンで50.2℃観測 4月の世界最高気温か

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
イスラマバード近郊で撮影された太陽の様子(写真:ロイター/アフロ)

先月パキスタンで、とてつもない気温の記録が作られました。南部のナワブシャでは30日(月)日中の気温が50.2℃まで上がり、パキスタンにおける4月の最高気温の記録を塗り替えたのです。同市は、3月にも45.5℃まで気温が上がり、国内の3月の気温の記録を更新したばかりでした。

世界記録の可能性も

ところで、これまで4月に観測された、世界で最も高い気温は何度でしょうか。

かつてメキシコのサンタ・ロサでは、4月に51℃という気温が観測されたことがあります。しかし気象学者のクリストファー=バート氏によると、この気温は疑問があるとのことで、今回のパキスタンの50.2℃が、4月の世界記録である可能性があるといいます。

ただ気象の記録を管理している世界気象機関は、月別の最高気温の記録をとっていないために、この記録が公式に認められるわけではないようです。

本格的な暑さはこれから

パキスタンでは7月や8月ごろは雨季(モンスーン)に当たるため、一年で最も暑いのは、雨季の始まる直前の5月後半から6月です。つまり、これからさらに気温が上がるのです。

パキスタンの最高気温記録であり、アジア記録でもある、2010年にモヘンジョダロで観測された53.5℃も、5月末に観測されています。

ラマダンと酷暑

高温に加え懸念されるのは、これから始まるラマダンです。

今年のラマダンは5月16日から6月14日ですが、この時期はイスラム教徒の人たちは、日の出から日の入りまでの最も暑い時間帯に、水を含む一切の飲食が禁じられています。ラマダンに記録的な酷暑が重なれば、熱中症や脱水症状などによる命の危険がさらに高まります。

2015年6月下旬には、熱波とラマダンの時期が重なり、パキスタン南部で1,500人が亡くなるという痛ましい出来事が起きています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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