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「誰かいい人を紹介してほしい」ときは希望条件を2つだけ挙げると良い

大宮冬洋フリーライター

既婚の人は想像してみてほしい。明日起きたら独身に戻っていたとして、再び恋愛や結婚の相手を見つけたいと思ったらどうするか。いま好きな人はいない。合コンをしようにも独身の友人はほとんど残っていない。結婚相談所に登録するべきか。いや、その前に「自力で」「自然に」恋の相手を見つける努力をしたい。

手っ取り早いのは、親族を含めた周囲に「いま独身。恋人もいない。誰かいい人がいたら紹介して」と告知することだ。筆者が先日インタビューしたレストラン経営者は、21年間連れ添った妻と離婚した後、「1年で再婚相手を見つける」と決意。友人知人顧客へ周知をして10人ほどの女性とデートをし、1年弱で素敵な相手と出会うことができた。現在は幸せな再婚生活を送っている(記事はこちら)。

とっくの昔に「現役」を退いてしまった既婚者は恋バナに飢えていることも多く、親しい人が独身に戻ったりしたら放っては置かない。あれこれと世話をしたくなるだろう。ただし、余計なお世話をして嫌われたくないし、好意を無駄にしてほしくないとも思っている。独身者としては、「紹介してほしい」と素直にお願いすると同時に、せっかく紹介してもらったのに「そういう人はちょっと……」と会う前から断るような事態は避けるべきだ。では、どのようにお願いするのが正解なのか。   

ポイントは、今までの恋愛体験を振り返りつつパートナーとの今後の生活を思い描き、譲れない希望条件を2つだけ挙げることだ。「会社の同僚に独身が何人かいる。紹介できるかも。どんな人がいい?」と聞いてもらったときに、「フィーリングが合って居心地のいい人」などと曖昧かつ甘えた回答をしたり、「身長175センチ以上で、年収600万円以上で、たばこは吸わなくて、実家は東京圏にあって、長男ではなくて、新聞を毎朝読む習慣があって……」と際限なく条件を挙げてはいけない。神様ではないのだからあなたの「フィーリング」に合う人などわかりようがないし、複数の条件にすべてマッチする独身者を探すのも至難の業だ(見つかったとしてもおそらく他の人に先を越されている)。

条件は3つでも多い。自分が紹介者の身になったとして、友人の希望条件を3つも覚えておけるだろうか。筆者には無理だ。メモ書きにして持ち歩いたとしても、3つの条件を満たす人を探すのは難しくてあきらめてしまう。

一方で、ちゃんと働いていて暴力を振るわない人なら誰でもいい、と言った回答も良くない。それでは対象が広すぎるし、あまりに自信がなさ過ぎる。自分を安売りしてはいけない。紹介を頼む相手はあなたの親しい人なのだから、パートナーとして普通は考えられない要素、例えばギャンブル癖や暴力癖、20歳以上の年齢差などは「条件」に入れる必要はないのだ。

自分の前後10歳ぐらいまでのまともな社会人が対象という前提で、どんな人ならば恋愛感情を持てて愛し続けることができるのかを真剣に考えよう。蓼食う虫も好き好き、という通り、人の好みは多種多様である。自分では普通だと思っていても、赤の他人から見たら「かなり変わった性癖」だったりする。ガッチリしたスポーツマンが大好きな人もいれば、細くてなよっとしたメガネ男子にしか恋愛感情を持てない人もいるのだ。

一生を左右する大事な局面なのだから、体面や外聞を気にしてはいけない。お金持ちしか愛せないのであれば「お金持ち」を条件に入れるべきだ。ただし、2つしかない条件のうち1つをそれに使っても良いのかは吟味しなければならない。

ちなみに、上述の男性は「飲み食いがハンパなく好きなこと」と「バックパック旅行でも厭わないほど旅が好きなこと」の2条件を掲げて婚活を開始した。離婚経験者である自分とわかり合えるために相手にも「バツイチであること」を条件に入れたかったが我慢したという。確かに、バツイチを条件に入れてしまうと紹介してもらえる女性の人数が大幅に減ったことだろう。結果として10人の女性とデートができて、自分と同じく理系で同い年のバツイチ女性と巡り合えたのだ。

条件を2つに絞り込むには勇気と謙虚さが必要になる。自己を見つめ直し、歪みや偏りも受けとめた上で開示する勇気。限りない欲望を2つだけに限定する謙虚さ。この作業の過程で、自分自身の姿がスッキリと見えてくるだろう。そして、恋愛や結婚の相手になり得る異性は世の中に意外と多いことに気づくかもしれない。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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