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斎藤慎太郎八段(28)史上5人目のA級全勝なるか?「将棋界の一番長い日」A級順位戦最終日始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月3日9時。静岡県静岡市・浮月楼において第80期A級順位戦最終9回戦が始まりました。対戦カードは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

△斎藤慎太郎八段(8勝0敗)-▲糸谷 哲郎八段(5勝3敗)

△佐藤 天彦九段(5勝3敗)-▲佐藤 康光九段(4勝4敗)

▲豊島 将之九段(4勝4敗)-△菅井 竜也八段(3勝5敗)

▲広瀬 章人八段(4勝4敗)-△羽生 善治九段(2勝6敗)

▲永瀬 拓矢王座(4勝4敗)-△山崎 隆之八段(1勝7敗)

「将棋界の一番長い日」と言われるA級順位戦最終日。今期は8回戦終了時点で名人挑戦は斎藤八段、B級1組への降級は羽生九段、山崎八段と決まっています。しかしそうはいってもやはり、この日を特別な思いで迎える将棋ファンは多いでしょう。

 本日の大きな注目ポイントは、斎藤八段のA級全勝なるかどうかです。

 過去4人の全勝者は、将棋史上に名を残す大棋士ばかり。斎藤八段は5人目の偉業達成者となるでしょうか。

 前夜の開会式で、糸谷八段と斎藤八段は次のように語っていました。

糸谷「前節、敗れてしまいまして、追いすがる形を作れなかったんですが、自戦、明日の戦いはですね、もっか全勝中の相手ということで、少しでも力を学び、そしてまた、来期に活かせるようにがんばっていきたいと思います」

斎藤「よい形で最終局を迎えられまして。また、明日は、特に素晴らしい環境で対局させていただけるということで、いつも以上にいい将棋を指せるようにがんばってまいります」

 将棋会館での順位戦は10時開始です。近年恒例の浮月楼対局では、朝9時に始まります。

 糸谷八段先手で、戦型は角換わり。糸谷八段が攻めの銀を手早く繰り出す「早繰り銀」(はやくりぎん)に出たのに対して、斎藤八段は「腰掛銀」(こしかけぎん)から銀矢倉にスイッチにして柔らかく受けます。

 糸谷八段が銀交換をはたして、序盤の折衝は一段落。棋界屈指の早見え早指しタイプである糸谷八段が41手目を熟慮し、1時間を超える長考。そのまま12時、昼食休憩に入りました。ここから先も長い戦いとなりそうです。

 A級順位戦の持ち時間は各6時間。昼食、夕食休憩をはさんで、通例では夜に終局となります。

 B級2組順位戦は一昨日おこなわれ、全日程が終了しました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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