今回は川越観光の中心地・川越一番街商店街の素敵な取り組みのご紹介です。それは健康上のトラブルに悩む方をサポートとする内容です。具体的にはどのようなものかというと……。

IBD患者さんへのトイレの貸し出し

今回、紹介する取り組みの対象者はIBDの患者さんです。

IBDは「大腸や小腸など消化管に炎症が起こる疾患（総称）で、主に指定難病である潰瘍性大腸炎とクローン病がある」とのこと。主な症状としては「下痢や腹痛で、トイレの回数の増加や食事の制限など患者さんの日常生活に様々な影響を及ぼすこともある」そうです。患者さんが普段の生活の中で困ることには「トイレの回数が多いこと」「外見や見た目からは病気であることが分からず、理解を得られにくいこと」などが挙げられます。

そこで、今回の川越一番商店街のサポートのお話です。

川越一番街商店街は商店街に並ぶ15店舗を対象に、IBDの患者さんがお見えになったら、店舗の利用にかかわらずトイレを貸し出す予定です。こちらは2023年夏頃からのスタートを予定しているそうです。

患者数は約29万人。決して他人事ではない

そもそも、私がこの取り組みについて知ったのは、製薬会社のアッヴィ（本社：東京都港区、社長：ジェームス・フェリシアーノ）の担当者からご連絡をいただいたことがきっかけです。アッヴィは「I know IBDプロジェクト」を展開していて、その活動を通じてIBDの正しい理解を広め、IBD患者さんが「周囲のIBDへの理解」を実感できる社会の実現に取り組んでいます。

去る2023年5月17日にこれまでの実績と新たな活動内容を紹介するオンライン記者発表会が開催され、そちらに参加させていただきました。

その発表会で使用された資料によると、国内のIBD推計患者数は約29万人で指定難病の中で最も患者数が多く、国内の患者数は年々増加傾向にあるとのことです。

本件について川越一番街商業組合の理事長にお話を伺ったところ、理事長は「よくよく考えてみたら私の周りにも同じような症状の人がいるなと。決して他人事ではありませんし、少しでもそのような方のお力になれるなら、ぜひ協力したいと思いました」とおっしゃっていました。

なお、頻繁な便意や腹痛、下痢に悩まされているなど、もし「私もIBDかも…」と思った場合には、IBDの診療を行っている医療機関に足を運ぶとよいそうです。該当する医療機関は「日本炎症性腸疾患協会」の公式サイトにてリストが公開されています（このリストに掲載されている以外にもIBDの診療を行っている医療機関はあるそうです）。

みんなが楽しめる意識を

「I know IBDプロジェクト」の担当者は、今回、川越一番街商店街に声をかけた経緯を次のようにおっしゃいます。

「観光地や自治体との協働を検討する過程で、本プロジェクトにすでに協力企業として参画いただいている株式会社JTB様に地域側のニーズなどをご相談したところ、ご厚意で川越一番街商店街様をご紹介いただきました。川越一番街商店街様は年間約240万人が訪れる人気の観光地であり、よりよいまちづくりを実践されている商店街であることから、「I know IBDプロジェクト」への協力をご相談し、快諾いただけました。歴史と文化のある街の観光をIBD患者さんにも、安心して楽しんでいただけることを期待します」

川越市民としてうれしいですよね。なお、「I know IBDプロジェクト」への商店街としての参加は全国初とのことです。

また、快諾をしたほうの川越一番街商業組合の理事長の言葉は次の通りです。

「商店街として初めてのことですし、まずはトライアルという形で実施し、必要に応じて調整していきたいと考えています。さまざまなお客様にお越しなっていただいている商店街として、より安心してお客様にお過ごしいただけるよう、環境を整備してお迎えしたいと考えています。今回の事業もそのサポートになればと思います」

なお、トイレが関係する情報として、川越の市街地には各場所に公衆トイレがあり、各案内図に公衆トイレの位置が示されています。

あらためていうまでもなく、川越は観光地でもあります。私たち川越市民は、IBD患者さんに限らず、訪れていただくすべての方々が楽しい時間を過ごせるように意識したいものです。

【サポート情報】

• 概要／2023年夏頃より川越一番街商店街がIBD（主な症状は頻繁な便意など）の患者さんを対象にトイレの無償貸し出しを実施予定→IBDの詳しい情報は「I know IBDプロジェクト」の公式サイトをご参照いただけますと幸いです。