臨時パスポートを取得し、息子のメジャーデビューに駆けつける
6月6日、ケイド・ポービッチ(ボルティモア・オリオールズ)は、両親が客席で見守るなか、先発投手としてメジャーデビューした。トロントのロジャース・センターで、菊池雄星(トロント・ブルージェイズ)と投げ合った。
だが、ポービッチの父は、そこに居合わせることができない可能性もあった。MLB.comのジェイク・リルによると、母はパスポートを持っていたが、父は持っておらず、臨時パスポートを取得し、アメリカからカナダに入国したという。
ポービッチは、24歳の左投手だ。2021年のドラフトでミネソタ・ツインズに3巡目・全体98位指名を受け、翌年8月のトレードでツインズからオリオールズへ移籍した。直前のドラフト全体97位は、メイソン・ミラー(オークランド・アスレティックス)。トレードは、ホルヘ・ロペスの交換要員として、イェンニアー・カノーらとともに移籍した。ちなみに、ポービッチのメジャーデビューと同じ日に、ロペスはニューヨーク・メッツに解雇された。
今シーズン、ポービッチは、AAAの先発11登板で56.2イニングを投げ、奪三振率11.91と与四球率3.34、防御率3.18を記録している。メジャーリーグ初登板は、ブラディミール・ゲレーロJr.にホームランを打たれるなど、5.1イニングで6失点(自責点6)。オリオールズは5対6で敗れ、ポービッチに黒星がついた。
オリオールズには、ポービッチ以外に5人の先発投手がいるが、ポービッチは降格せず、次もメジャーリーグで投げるかもしれない。オリオールズは、5月31日~6月16日の17日間に17試合と、18日~30日の13日間に13試合を行う。
パスポートと言えば、過去にはこんなこともあった。12年前の夏、ライアン・デンプスターは、シカゴ・カブスからテキサス・レンジャーズへ移籍した。その半月後、デンプスターは、ロジャース・センターで投げる予定だったが、パスポートを紛失していてカナダに入国できず、他の投手が登板した。
この年、カブスとブルージェイズの試合は、組まれていなかった。デンプスターは、カナダで生まれ、カナダの高校に通い、そこからプロ入りした。