アップルの「App Store」vs「Google Play」、売上高とダウンロード数で差が広がる
世界中で利用されているモバイル端末を基本ソフト(OS)別に見ると、米アップルの「iOS」よりも米グーグルの「Android」の方が圧倒的に多い。
これにより、グーグルのデジタルコンテンツ配信サービス「Google Play」でダウンロードされるアプリの数は、アップルのアプリ配信サービス「App Store」のそれを大きく上回っている。
一方で有料アプリに限って見ると、iOS向けアプリは利用者が多い。これによりApp Storeのアプリ売上高は、Google Playを大きく上回っている。
世界のアプリ市場動向を調査している米アップアニーがこのほどまとめたリポートによると、こうした両サービスの差は、ここ最近ますます広がりつつあるという。
同社によると、今年1〜3月期におけるApp Storeの売上高はGoogle Playに比べ70%多くなり、その差は昨年7〜9月期から10ポイント拡大した。
App Storeの売り上げ増大は中国の影響
これには中国市場の変化が大きく影響しているという。中国の消費者は画面サイズの大きなスマートフォンを好む傾向があり、昨年10月に同国で発売された「iPhone 6」と「同6 Plus」は大ヒットとなった。これに伴いApp Storeの利用者も増え、iOS向けアプリのダウンロードが伸びたという。
アップアニーがまとめた、今年1〜3月期におけるApp Storeの国別ダウンロード数は中国が最も多く、これに米国、日本、英国、ロシアと続いた。中国はこのランキングでこれまで2位だったが、ここに来てトップに浮上したという。
米テッククランチによると、アップアニーがApp Storeの国別ダウンロード統計を取り始めたのは2010年7月。中国がこの統計で1位になったのはこれが初めてという。
ただし、アプリの国別売上高を見ると米国が首位を維持している。これに日本が次ぎ、このあと中国、英国、オーストラリアの順となっている。
Google Playは新興国で利用者増大
一方で、アプリのダウンロード数をGoogle PlayとApp Storeで比較すると違った景色が見えてくる。アップアニーによると、今年1〜3月期におけるGoogle Playのダウンロード数はApp Storeに比べ70%多かった。この比率は昨年7〜9月期の60%から拡大している。
Google Playのダウンロード数が増えたのには、メキシコ、トルコ、ブラジル、インドネシアなどの新興国市場でスマートフォンの利用が増えたことが背景にあるという。
これらの国では初めてスマートフォンを購入する人が多く、そうした人たちは廉価なAndroid端末を選ぶ。その結果Google Playの利用が増えたと、アップアニーは分析している。
今年1〜3月期におけるGoogle Playの国別ダウンロード数は米国、ブラジル、インド、ロシア、メキシコの順。メキシコはこれまで6位だったが順位を1つ上げ上位5カ国に入った。またGoogle Playの国別売上高を見ると、日本、米国、韓国、ドイツ、台湾の順。こちらの順位は前の四半期から変わっていない。
中国では利用できず
なおこれらGoogle Playの国別ランキングに中国が入っていないのは、同国本土でグーグルの多くのサービスが遮断されているという事情が背景にある。
グーグルはかつて、中国本土で検索サービスを提供していたが、同国からのサイバー攻撃や当局に強いられている検閲が耐えられないとして、2010年に同国本土の検索サービスを停止。サーバーを中国本土とは法制度が異なる特別行政区の香港に移し、香港経由で本土向け検索サービスを開始した。
しかしそれ以来同社のサービスは定期的に中国本土からアクセスできなくなっており、Google Playの中国版もいまだない。
(JBpress:2015年4月17日号に掲載)