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先手番18連勝! 藤井聡太竜王(20)五冠を保持しながら史上最高勝率に迫る勢い!

松本博文将棋ライター

 将棋界の2022年度は終盤戦を迎えています。年が明けてからも、藤井聡太竜王(五冠、20歳)の勢いが止まりません。

 羽生善治九段(52歳)の挑戦を受け、社会的にも注目を集める王将戦七番勝負。開幕第1局では振り駒で先手番となり、羽生挑戦者秘策の一手損角換わりを破って勝利を収めました。

 藤井竜王はこれで先手番18連勝です。

 今年度、先手番で敗れたのは棋聖戦五番勝負第1局、永瀬拓矢王座(30歳)との千日手再指し直し局のみです。

 藤井竜王の今年度成績は36勝7敗。勝率は0.837となりました。

 トップクラスを相手にこの成績は、信じがたいという一言に尽きます。6年連続の勝率8割台も現実的なものとなってきました。

 表を眺めているとフルシーズン参戦の2017年度以降、敗数が12→8→12→8→12と推移していることに気づきます。その法則からすれば今年度は8敗・・・となるのかどうか。

 これまでの史上最高勝率は1967年度、中原誠五段(当時20歳、現16世名人)が記録した0.855(47勝8敗)です。

 藤井竜王はここからもし6勝すると42勝7敗(勝率0.871)で史上最高ペースとなります。

 藤井竜王は1月15日、朝日杯本戦1回戦で阿久津主税八段戦と対戦します。勝てば同日、2回戦もおこなわれます。

 また同じ1月15日にはNHK杯3回戦、佐藤天彦九段戦も放映されます。

 1月15日に朝日杯、NHK杯とすべて勝利ならば、記録上は3勝が積み上げられることになります。

 今年度、勝率部門でずっとトップを走ってきたのは徳田拳士四段(25歳)でした。

 しかし1月13日。新人王戦2回戦で高田明浩四段に敗れて30勝7敗(勝率0.816)に。依然ハイアベレージではあるものの、ランキング的には、やや後退となりました。

 大橋貴洸六段(30歳)は現在8連勝中で、年度成績は28勝6敗(勝率0.823)。B級2組順位戦ではただ一人8戦全勝で、昇級争いのトップに立っています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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