台風23号、週明けに小笠原近海を北上へ
あさって月曜日には小笠原近海へ
11月3日午前9時(文化の日)、フィリピンの東海上で発生した台風23号が強い勢力に発達しながら日本のはるか南海上を北上しています。
今後も海水温が29℃前後ある暖かな海域でさらに発達しながら北上し、あさって7日(月)午前9時には950hPa、最大瞬間風速60メートルの勢力で、小笠原近海に進むと予想されています。
台風が予報円の真ん中を進むと父島からやや離れた所を通過する予想ですが、最も西よりのコースを進むと小笠原諸島が暴風域に入る可能性も残っているため、強風(暴風)や高波などには注意(警戒)が必要です。
なお、小笠原近海を北上した後、8日(火)には温帯低気圧に変わり、その後は日本の東へ足早に遠ざかる予想です。
この台風が本州付近に直接の影響を及ぼす恐れはほとんどないと言えそうです。
11月の台風は珍しい?
11月なると、季節は晩秋~初冬へ向かう季節となり、上空の強い西風(偏西風)が南下してくるため、さすがに日本付近へ台風が接近することは少なくなります。
気象庁の統計では、1951年~2015年までの65年間に、11月に日本へ接近した台風は40個あり、単純には1~2年に1個は接近している計算ですが、実はこのほとんどが沖縄や小笠原諸島への接近で、本土(九州、四国、本州、北海道)に接近した台風はわずかに3個のみとなっています。
ですから、今回の台風23号はいわば11月らしいコース取りで小笠原から日本の東へ進んでいくということが言えるでしょう。
ところが、本土に接近したこの3個の台風の中に、際だって遅く接近し、しかも日本に上陸した台風があります。それが1990年の台風28号です。
過去最も遅く上陸した1990年の台風28号
気象庁の統計による、遅い上陸の5位までは以下の通りです。
これによると、2位まではすべて10月なのに対して、1位の1990年台風28号だけは11月で、しかも11月30日という師走直前での上陸となっています。
なぜこんなことが起きたのか?
当時の進路や上空の流れを示すとおおまかには以下の通りとなっています。
通常この時期ならば、偏西風が日本の南まで降りているため、台風が本土に近付くことはほぼ不可能なのですが、この時は日本の東~南で高気圧が季節外れに強く、このため偏西風の流れが大きく蛇行してしまっています。
こんな状況の時にたまたま台風が日本の南に進んできたために、台風はこの流れに乗って、まるで秋台風のような進路で和歌山県に上陸したのです。しかも上陸時の勢力は970hPaで、台風としては比較的しっかりとした勢力を保ったままの上陸でした。
今回の台風23号はいわば11月らしいコース取りで日本の東へ抜けていきますが、これでもう今年の台風は終わりというのは早計かもしれません。