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新型コロナワクチンの副反応が強いほど、効果が期待できる? 副反応が軽くても大丈夫か(追記あり)

倉原優呼吸器内科医
(写真:maroke/イメージマート)

★2022年3月に記事を少し新しく更新しています(URL:https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20220306-00285132

副反応が強い人・弱い人

新型コロナワクチンを接種すると、発熱、筋肉痛、倦怠感、頭痛など、さまざまな副反応が出ます。これには個人差があり、高齢者が軽度でも、若者では何かの感染症にかかったんじゃないかというほど強い症状が出ることもあります。

「私はワクチン接種後に高い熱が出たわ、だから抗体がしっかりできていると思う!」

「えっ、僕は熱が出なかったよ、抗体ができていないのかも・・・」

(イラストAC、シルエットイラストより使用)(筆者作成)
(イラストAC、シルエットイラストより使用)(筆者作成)

こんな会話が繰り広げられることもある新型コロナワクチン。果たして、副反応が強く出るほうが、しっかりとワクチンの効果が得られるのでしょうか。

結論を先に書きますが、副反応の強さと抗体獲得には相関関係があるとは言えません。

医療従事者の接種データから分かったこと

ワクチン接種から数日間で起こる副反応は、体内に異物が入るために起こる正常な反応です。この副反応のあと、数日から数週間かけて長期的な免疫応答が起こります。この時期がワクチンのもっとも重要なポイントです。ウイルスが侵入してきたときに、敵とみなして戦うための免疫が獲得されます。

ファイザー社製のワクチンを接種したウォルター・リード陸軍医療センターの医療従事者における抗体価と副反応の関係を調べた研究があります(1)(ただし査読前論文)。

接種した206人(女性69.4%、年齢中央値41.5歳)を調べると、2回目のワクチン接種から1か月後の時点で、「ワクチンの副反応の強さ」と「新型コロナのスパイクタンパクに対する抗体価」の間に相関関係はありませんでした(図1)。つまり、ワクチンの副反応が強くても抗体がたくさんできるわけでもなければ、副反応が弱くても抗体ができないわけでもなかったのです。

図1. 1回目および2回目のワクチン接種後の副反応と抗体価の関係(文献1より引用)
図1. 1回目および2回目のワクチン接種後の副反応と抗体価の関係(文献1より引用)

また、年齢によっても抗体の獲得に差があることがわかっており(2)、ウォルター・リード陸軍医療センターの研究でも高齢者ほど抗体価の上昇が少ないことが示されています(1)。これは、T細胞という免疫細胞の機能が老化しているからかもしれません。ただし、感染を予防する上で十分な抗体価は確保されているので安心してください。

なお、これまで人類に接種されたさまざまなワクチンの研究によると、女性の方が副反応が出やすいことが分かっています(3-5)(図2)。これは、自然免疫系に性差があるためと考えられますが、詳しい理由はよくわかっていません。その他、若年者、2回目接種者、新型コロナに感染したことがある人では副反応が出やすいとされています。

図2. 新型コロナワクチンの副反応が出やすい人(イラストAC、イラストエイト、シルエットACより使用)(筆者作成)
図2. 新型コロナワクチンの副反応が出やすい人(イラストAC、イラストエイト、シルエットACより使用)(筆者作成)

ちなみに、対象ウイルスは異なりますが、海外の子宮頸がんワクチンでは、副反応が強く出た人のほうが、出なかった人よりも、接種7か月後の抗体価が高かったという報告があります(6)。

そのため、対象ウイルスによっては一概にこの「相関関係がない」とは断言できないため、新型コロナワクチンについては現時点での解釈だということに注意してください。

まとめ

現時点での見解として、新型コロナワクチンによる副反応が強いほど抗体が上がりやすいわけでもなく、副反応が弱いからといってワクチンの効果が出ないわけでもない、と言えます。

そのため、「副反応が強かったから、めっちゃ免疫がついたぜ!」というのは都市伝説なのかもしれませんね。

しかし、2回接種したとしても経時的に抗体価が減少してくることは間違いなく、アメリカでは新型コロナウイルスワクチン2回接種を完了してから8か月が経過した人に対して、3回目の追加接種を推奨することになりそうです。日本でも3回目の接種の議論が進みつつあります。

※JAMA Intern Medの論文解釈に誤りがあったため当該部位を削除しております(2021年10月21日14時34分)

(参考)

(1) Coggins S, et al. medRxiv. 2021 Jul 2;2021.06.25.21259544.(査読前論文)

(2) Muller L, et al. Clin Infect Dis. 2021 Apr 27;ciab381.

(3) Klein SL, et al. Trans R Soc Trop Med Hyg. 2015 Jan;109(1):9-15.

(4) Fischinger S, et al. Semin Immunopathol. 2019 Mar;41(2):239-249.

(5) Menni C, et al. Lancet Infect Dis. 2021 Jul;21(7):939-949.

(6) Zhuang C, et al. Emerg Microbes Infect. 2021 Dec;10(1):365-375.

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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