熱中症と思ったら新型コロナ!? 沖縄県で1年ぶりの感染拡大
沖縄県を含めた九州地方で、新型コロナの感染者数が急増しています。全国的にも、定点医療機関あたりの感染者数は8週連続で増加しています。「熱中症と自己判断していたら実は新型コロナだった」というケースも見かけるようになりました。
沖縄県の新型コロナが急増
現在、新型コロナの流行が報道されるときに使用されているのが「定点医療機関あたりの感染者数」です。代表的な医療機関において、1週間あたりに診断された感染者数のことを指します。
新型コロナに関しては明確な警戒基準が浸透しておらず、インフルエンザと同様に10人を超えると「注意報レベル」、30人を超えると「警報レベル」という実感を持っています。
複数の県では、20~30人でかなり医療機関への負荷が大きくなることがわかっています(1)。
全国的には定点医療機関あたりの感染者数は5.79人とそこまで多くありませんが(図1)、沖縄県は29.91人と、1年ぶりに警報級の流行に陥っています(図2)。
昨年は、沖縄の流行から1~2か月遅れて本州で感染が拡大していたことから、流行が夏休みを直撃する可能性があります。
若い世代にとって重症化リスクは低いが
デルタ株やオミクロン株のように変異ウイルスが毎日のように報道されていたコロナ禍と比べると、ウイルスの毒性はかなり減ったと思います。
高齢では、いまだにインフルエンザより肺炎を起こす頻度は高いですが、若い世代にとってはインフルエンザや風邪と同等レベルという理解でよいかもしれません。
問題は、入院患者数が増えると地域の医療がひっ迫しやすいという点です。「風邪だから入院してなくていい」は若い世代の論理であって、どのような感染症であろうと、感染者数の絶対数が増えれば高齢者の入院患者数も必然的に増えていきます(図3)。
また、「5類感染症」に移行したとはいえ、感染性は依然高い状態で、高齢者施設や医療機関で時折クラスターを経験します。
熱中症と思ったら新型コロナ!?
「頭がぼーっとする」「なんだか熱っぽい」といった理由で、熱中症を疑って医療機関を受診する人の中に、新型コロナの方がちらほらと混ざるようになりました。
熱中症と感染症のいずれにおいても体温が上昇しやすいことから、自己判断で両者を見分けることは意外と難しいです(図4)。
また、子どもではその他のウイルス感染症も流行しており、いろいろな感染症を同時に想起する必要があります。
感染対策として、この猛暑でマスクをするのは現実的ではないかもしれません。場面ごとに個々が感染に注意するという考え方でよいと思います。ただ、大勢が集まる場合、エアコンをつけて締め切った状態のままより、定期的に換気をするほうがよいでしょう。
(参考)
(1) 国立感染症研究所. 定点移行後の新型コロナウイルス感染症のリスクアセスメントとコミュニケーション(https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2640-related-articles/related-articles-532/12729-532r07.html)
(2) 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2024年(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00461.html)