いよいよ本日、有馬記念。勝つのは果たしてどの馬か?! 改めて検証しよう
1番人気を争う2頭は本当に有力か?!
いよいよ有馬記念当日を迎えた。数々の名勝負が繰り広げられた今年の競馬界。その締めくくりの大一番が、中山競馬場の芝2500メートルを舞台に行われるG1、有馬記念だ。
前日の前売り段階で人気になっているのはクロノジェネシス(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)とフィエールマン(牡5歳、美浦・手塚貴久厩舎)。両馬の前走はいずれも天皇賞(秋)(G1)。早目に抜け出した絶対女王のアーモンドアイにこそ屈したが、ゴール前は差を詰める競馬でそれぞれ3、2着と善戦した。
クロノジェネシスは春には宝塚記念(G1)で2着キセキ(牡6歳、栗東・角居勝彦厩舎)に6馬身差をつける完勝。昨年のリスグラシューもそうだが、春秋のグランプリは条件的にも似ている事から共に好走する例は多い。そんな傾向の中、春にあれだけのぶっち切りの勝ち方をしている点から上位人気に推されるのも頷ける。道悪が得意なタイプだけに、この時期の時計を要す中山の芝も苦にしないだろう。
そのクロノジェネシスに前走で先着したフィエールマンも当然、有力。こちらはG1を3勝。その内訳は菊花賞と天皇賞(春)が2回という事で、いずれも3000メートル以上なので、今回の2500メートルがどうか?だが、昨年は2着と僅か0秒3差の4着と好走しているのだから短過ぎるという事はないか。ブラストワンピース(牡5歳、美浦・大竹正博厩舎)と共に遠征した昨年の凱旋門賞(G1、フランス)が唯一といってよい大敗で、国内で走る限りは実に堅実。3回のG1制覇全てでコンビを組んだC・ルメールに戻る点も追い風か。
評価の分かれる牝馬勢
同じくクロノジェネシスに先着しているのがラッキーライラック(牝5歳、栗東・松永幹夫厩舎)。こちらは大阪杯(G1)を制した時の2着がクロノジェネシスだったわけだが、僅か0秒3差3着のダノンキングリー、0秒4差のカデナは共にG1未勝利馬。前走のエリザベス女王杯連覇を達成した際は、手前味噌だが私は新聞で発表している予想で本命をサラキア、対抗をラッキーライラックとした。結果、ラッキーライラックはサラキア(2着)を負かして優勝したのだが、このサラキアもG1は未勝利馬。対アーモンドアイという点を考えても、先述の2頭と比べると完敗してきた感が強く、今回のオッズでは少々妙味がなさそうだ。もっとも、父はこのレースを2度制しているオルフェーヴルだし、これがラストランという事なので、当方のくだらない予想を覆す好走をしていただきたいところではあるが……。
ちなみにラッキーライラックが制したエリザベス女王杯で3着だったのがラヴズオンリーユー(牝4歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。アーモンドアイをモノサシにすると、こちらも厳しいという見解になるが、調教の動きなどを見ると、最も上積みが見込める。復調となれば、昨年のオークスは後述のカレンブーケドールやクロノジェネシスを撃破して優勝した実力馬だし、絶好枠(4番)を引いた事もあり、怖い存在だ。
同じく牝馬で侮れないのがカレンブーケドール(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。彼女の前走はジャパンC(G1)。芝G1最多勝のアーモンドアイに加え、無敗の3冠馬2頭、すなわちコントレイルとデアリングタクトが出走したこのビッグレースで、その3強に続く4着。2頭の3冠馬とは馬体を並べてゴールラインを通過した。もし今回、コントレイルが出走していたら1番人気に支持されたと推測でき、ならばカレンブーケドールは予想されるオッズ以上に“買い”なのでは?と個人的には思っている。
伏兵陣も多士済々
他にも脚質的に絶好枠を引いたと思えるバビット(牡3歳、栗東・浜田多実雄厩舎)、底力の問われる東京でG2を連勝中のオーソリティ(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)、ひと叩きされたワールドプレミア(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)に一昨年の覇者ブラストワンピースや復活を期すキセキなど、多士済々。ジャパンCで顔を揃えた3冠馬3強の参戦こそなかったものの、年末最大のお祭りレースらしく役者は揃った。後は不利や故障などなく、綺麗なレースで好勝負が見られる事を期待しよう!!
(文中敬称略、写真撮影=平松さとし)