日本海に春の訪れ「移流霧」
日本海北部の広範囲に海霧が発生し、各地に濃霧注意報が発表された。20日の札幌の最高気温は6月上旬の19.8度、暖かい空気が冷たい日本海で冷やされて発生した「移流霧」だ。
全国100%の晴れ
20日(金)は全国的な晴れの天気。一年に何度か、このような全国的な晴れの天気があり、今年は今日を含めて6日です。昨年は秋も含めて3日でした。
表紙は気象衛星ひまわり8号からみた日本列島の様子です。北アルプスから北海道にかけて、白く見えるのは残雪です。
日本海北部に見える白いものはなんでしょう?
これは海霧です。普通の雲とは違って、凹凸がなく、輪郭がはっきり見えます。この付近の海面水温は6度以下、冬の名残の冷たさです。そこへ暖かい空気が流れ込み、冷やされて霧が発生しました。専門的な言葉でいうと、移流霧(いりゅうぎり)です。
20日は全国的に初夏の陽気となり、札幌の最高気温は19.8度と6月上旬の気温となりました。こちらは霧の様子を今朝から見たものです。
霧が風に流されて、ロシア沿岸から北海道に移動した様子がわかります。渡島半島に位置する江差町では午前8時の視程(見通せる距離)は13キロでしたが、霧が広がってきたため、午後1時の視程は半分の6キロになりました。
北国に春の訪れ
霧は秋の季語です。平安時代以降、春に立ち込めるものを霞(かすみ)、秋を霧と言い分けてきました。天気の世界では非常に細かい水滴や氷晶が空中に浮遊し、見通せる距離が1キロ未満となる現象をいいます。ひとことでいえば、霧は雲が地面や水面に達したものです。
一方、北日本は春から夏にかけて霧シーズン。函館では6月と7月が最も霧が発生しやすいときです。気象衛星ひまわりの雲画像に海霧がみられるようになると、いよいよ北国にも遅い春がやってきました。
【参考資料】
木下仁,成田正巳,吉松雅行,2017:第6章ひまわり8号の画像を利用した霧の監視,平成28年度予報技術研修テキスト,気象庁予報部,94-114.