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「今の政府は自国のために正しいことをしてるのだろうか」世界の人に聞いてみた

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 自国の現政府は正しいか否か、その思いは人によって大きく異なるようで……(写真:アフロ)

人によって正しいことの判断は異なるため、ある人が正しいと思ってしていることが他人にとってはそうでないと思われることも少なくない。多くの人の代表が政治を執り行い、国のかじ取りをしている民主主義国家では、人々は国の判断を正しいと考えているのだろうか。米国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月に発表した調査報告書「Globally, Broad Support for Representative and Direct Democracy」(※)からその実情を確認する。

今調査対象母集団全体では自国の民主主義体制が、回答者自身が満足できるほどに機能していると考えている人は46%。満足している人の割合は国によって大きな違いがあるが、多分に自分自身が支持する政党政派が政権を担っている場合は機能している・満足であると判断し、そうでない場合は機能していない・不満であると認識する傾向がある。

↑ 自分の国では民主主義が満足できるほどに機能しているか(「大変満足」「満足」「不満」「大変不満」の4選択肢。「大変満足」「満足」を満足派、「不満」「大変不満」を不満足派とし、その満足派の値)(その国の現行政権の支持派による値から非支持派の値を引いた結果、ppt)(2017年春)
↑ 自分の国では民主主義が満足できるほどに機能しているか(「大変満足」「満足」「不満」「大変不満」の4選択肢。「大変満足」「満足」を満足派、「不満」「大変不満」を不満足派とし、その満足派の値)(その国の現行政権の支持派による値から非支持派の値を引いた結果、ppt)(2017年春)

それでは回答者の国の今の政権が、自国のために正しいことをしていると信頼できるだろうか。「大変信頼できる」「信頼できる」「信頼できない」「まったく信頼できない」の4選択肢を提示して答えてもらい、そのうち前者2つ、信頼派を反映したのが次のグラフ。

↑ 今の自国の政権が自国のために正しいことをしていると信頼できるか(「大変信頼できる」「信頼できる」「信頼できない」「まったく信頼できない」の4選択肢)(2017年春)
↑ 今の自国の政権が自国のために正しいことをしていると信頼できるか(「大変信頼できる」「信頼できる」「信頼できない」「まったく信頼できない」の4選択肢)(2017年春)

報告書では「民主主義が機能しているか否かの判断と、政権への信頼性の度合いは連動している」と説明している。つまり民主主義が満足のいく機能ぶりを示していると認識されている国では、その国の政権は正しいことをしていると信頼されている次第。

実際に民主主義が機能していると満足している人が多いアジアやアフリカでは、信頼できるとの回答率も高い。また前大統領の汚職事件のさ中に調査が行われた韓国や、南米では一様に低い値が出ている。

世界全体では中央値として「大変信頼できる」の値は14%であると報告書にはある。5%に満たないのはイタリア、フランス、ギリシャ、韓国、レバノン、ブラジル、メキシコ、ペルーの8か国。5%きっかりのスペインとチリを合わせれば10か国になる。

また報告書では詳しい値は開示していないものの、回答者の支持政党が政権を担っているか否かで大きな差が開いているとしている。回答した37か国のうち30か国までが、支持政党が政権を担っている人の方が、そうでない人よりも信頼派の値が高いと説明している。さらに13か国ではその差が30%ポイントも開いているとのこと。

国民が民主主義を実感したり、国のかじ取りを信頼できるか否かが多分に、支持政党別で違ってくるのはよいことなのか否か。考えさせられる結果ではある。

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※Globally, Broad Support for Representative and Direct Democracy

世界38か国に対して2017年2月から4月においてほぼ同時に実施されたもので、各国の調査対象母集団数は、RDD方式などで選択された18歳以上を対象とする各国約1000人ずつ。調査方法は対面調査や電話インタビュー形式。それぞれの国の国勢調査の結果を元に年齢や性別、学歴、地域などの各属性によるウェイトバックが行われている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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