『小望月の鈴木彩艶を見る楽しみ』浦和vs柏【浦和レッズ川柳な試合レビュー】
■コロナ前に近づいている
試合開始40分前くらいに着いて驚いた。すでにMDPが完売になっていたのだ。レイソル戦て、そんなに集客が多い印象がなかったので、まさか買えないとは想像もしていなかった。こちらが予想した以上にお客さんが来たのか、あるいは少し刷り部数を絞っているのか?
まあ、よくはわからないが、スタジアムに入ってみたら、確かにお客さんは多い。特に目立ったのがレイソルサポだ。数の多さはあるとして、それ以上に応援の声の勢いがやたらとパワフル。チームの調子がいいのはあるとしても、これだけ熱っぽいところを見た記憶があんまりなかった。レッズサポに負けてないくらい。
サポの声 レッズ・レイソル がっぷり四つ
すいません。相撲にたとえてしまった。あとで聞いた結果は2万8千人あまりで、ACLの準決勝より多かった。タイトルのかかった試合でもなく、優勝や降格の危機のあるシチュエーションでもない。それにしちゃ多い。だいぶ一番集まったころに近づいてる。
ただ、南側自由席の私の周りを見回すと、やはり中高年層が中心で、若者層はあんまりいない。これって南側だけの傾向なのか、レッズサポ、あるいはJリーグ全体の流れなのか。
年寄である私が言うのもなんだが、ちょっと心配。
■浦和の新守護神に大注目
試合が始まると、さすがに「声出しOK」の席なので、実際に声を出したり、北側ゴール裏に合わせて手拍子をしたりする人が目立った。どうも、まだ定員の半分しか買えないので北側を確保できなかった人達の中で、南側に来ている人もだいぶいるのかもしれない。
試合そのものの流れは実に順調。昔、私もよくお笑いの例を出してパスの出し手と受け手をツッコミとボケにたとえた。ダウンタウンにしても、ちょうどいいタイミングで浜田が頭を叩くから松本のボケが決まる、みたいに。
なんかいま、レッズはこのツッコミ、ボケのタイミングが絶妙にいいのだ、7分の松尾のゴールにしても、24分のシャルクのゴールにしても、ここにいいツッコミが欲しい、というドンピシャのところでボールが来る。
ドンピシャの ボケとツッコミ ゴール前
この2点で、まずきょうの勝利はカタいだろうと踏んだ後半、反対側のゴールで一体だれが決めたのかよくわからなかった知念のゴール、ショルツのPKなどもあったものの、私の注目はもっぱら彩艶。去年6月のベルマーレ戦、見てたから。まさかとは思うが、日本代表にまで選ばれて、ここでドジを踏むわけにはいかない。でも、本人がその辺意識しすぎて、思わぬエアポケットに入ったらヤバい、と南側のゴールに立つ彼の姿にずっと目が行ってしまった。
やってくれましたね。60分台に訪れたピンチを立て続けにナイスセーブ。いわゆる「身体能力の高さ」をいかんなく発揮してくれた。
あの、最後の1点だけはちょっと余計で、できるならゼロ封してもらいたかったけど、今回は4-1のだったし、よしとしよう。
空は中秋の名月。彩艶は、まだ「満月」とはいえないながら、だいぶそれに近づきつつはある。もうすぐ満月になる前日の月を昔のひとは「小望月」と言ったらしい。そこでちょっと風流に、
満月の 夜に彩艶 小望月
それにしても、帰り、夜空を見上げると、ほぼ完璧な満月だった。
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後30年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。去年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2021』(飯塚書店)が好評発売中。代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、9月6日、お笑い系プロダクション「浅井企画」の元専務・川岸咨鴻氏の半生を追った『川岸咨鴻伝 コサキンを「3億年許さん」と叱責した男』をリリース。11月上旬には『タブレット純のローヤルレコード聖地純礼』も発売予定。また、今年末には『浦和レッズ川柳2022』も出す予定。