元慰安婦の「爆弾発言」は安倍政権にはプラス! その5つの理由
旧日本軍の韓国人慰安婦被害者の一人、李容洙(92歳)さんが5月25日に記者会見を開き、慰安婦被害者の支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)と前理事長で先の国会議員選挙で与党「共に民主党」から出馬し、当選した尹美香前理事長に対して「30年にわたって利用され、挙句の果てに裏切られた」と怒りを爆発させた。
記者会見には日本からも多くのメディアが詰めかけたことからも明らかなように彼女の発言が日本に及ぼす余波は計り知れないものがある。特に被害者の立場から韓国内の慰安婦問題の在り方を問題視しただけでなく、2015年の日韓合意についても触れているだけに安倍政権にとっては気になるところだ。彼女の発言は総じて、日本にとってはプラスになったと言える。
プラス1.支援団体の母体となった「挺対協」の正当性を否定したこと。
「正義連」の前身は1990年11月16日に韓国教会女性連合会、韓国女性団体連合会等16団体が参加して結成された「挺身隊対策協議会」(挺対協)で2015年の日韓慰安婦合意後に「日本軍性奴隷制問題の解決のための正義記憶連帯」に名称を変えていた。
李さんは「挺対協は挺身隊の問題だけを扱うべきであるにもかかわらず、どのような権利で慰安婦被害者を利用することになったのか」と「挺対協」が慰安婦問題に首を突っ込んできたこと自体を問題にしていた。
民主党政権下の2012年に野田政権が提示した解決策も2015年の朴槿恵前政権下の日韓合意も反対したのは「挺対協」であることは周知の事実である。李さんが組織の正当性に疑問を挟んだことで慰安婦支援団体としての存在意義が問われることになったのはこの組織が目の上のたん瘤だった安倍政権にとってはまさに歓迎すべき発言である。
プラス2.「挺対協」の「慰安婦証言集」を問題にしたこと。
「挺対協」は1993年に元慰安婦証言集『証言・強制連行された朝鮮人慰安婦たち』を刊行した。「挺対協」は当時、200名近い慰安婦の聞き取り調査を行ったとしているが、当時、百数十名については被害事実や名前、仮名を公開してなかった。
李さんは今回、「被害者に対する証言の聞き取りを正式に行ったことがないのに挺対協が被害者の証言集を6500ウォン(現在のレートで約560円)で販売していた」と述べ、「営利目的のため慰安婦を利用した」と「挺対協」を批判していた。
この証言集は韓国の「従軍慰安婦」存在理由の拠り所になっていただけに「被害者に対する証言の聞き取りを正式に行ったことがない」との李さんの発言はこの証言集の信憑性にも疑問符を与えることになった。
プラス3.「水曜集会」を止めるように訴えたこと。
李さんは「水曜集会は慰安婦問題の解決に役立ない。これまで30年間、デモ(水曜集会)をしないでくれとは言えなかった」と「水曜集会」にも疑問を呈した。
「水曜集会」は李明博政権下の2011年12月14日、日本大使館前の公道に無許可で少女の慰安婦を模したブロンズ像を建てたことから始まった。日本政府は2015年の日韓合意と公館の安寧・威厳の維持に関する「ウィーン条約」を盾に象の撤去と「水曜集会」の中止を韓国政府に求めていたが、韓国政府は今も集会を容認し、像についても「民間が設置したので強制できない」と黙認している。
被害者の李さんが「水曜集会には二度と出席しない。慰安婦の参加しない集会は無意味だ」と公言したこともあって今後「水曜集会」の必然性が問われ、仮に中止されれば、その集いの場である日本大使館の前に設置されている「慰安婦像」もその存在意義が消滅し、自動的に撤去されることになるかもしれない。
プラス4.「性奴隷」という表現を使わないよう求めたこと。
李さんは記者会見の場で「正義連」が慰安婦を「性奴隷」と呼んでいることについても「あの汚い性奴隷という言葉をなぜ使うのか」「(挺対協は)『米国に聞かせたいからそう呼んでいる』と、話にもならないことを言っている」と批判した。
「正義連」の資料には『性奴隷』は「被害者を罵倒するための用語ではなく、むしろ被害の実状を正確に表現するため、学術的に構成された概念」と説明されているが、当事者がその呼称を拒んだことで韓国政府に対して再三にわたって「性奴隷」という表現を使わないよう求めていた日本側の主張に説得力を持たすことになった。
プラス5.国会議員になった尹美香前理事長の発言力が低下すること。
李さんは尹前理事長について「熊が芸をして金は主人が取る(苦労して得たものを横取りされるという意味)」の諺を引用し、尹前理事長について「私利私欲のため国会議員にもなった。容赦できない」と非難したが、尹氏は現在、「正義連」の経理不明疑惑との関連で横領と詐欺、寄付金品法違反、業務上背任などの容疑で告発されている。
尹議員については野党だけでなく与党内でも今月30日に第21代国会が開会する前に国会議員の地位返上を求める声が高まっているだけでなく、検察が本格的に捜査に乗り出したことで逮捕される可能性も取り沙汰されているが、選挙戦で「これは日韓戦である」を看板に戦い当選した「反日闘士」である李前理事長の「失脚」は日本にとっては何よりも好都合である。