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世界ランキング上位の韓国勢に急ブレーキ!! イ・ボミのリオ五輪出場に可能性が出てきたワケ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
オリンピック出場を最後まで諦めないというイ・ボミ(写真は2011年)(写真:アフロスポーツ)

韓国が世界に誇るスポーツといえば、女子ゴルフだろう。実際に世界ランキング(5月30日現在)を見てみると、2位パク・インビ、5位キム・セヨン、7位チョン・インジ、8位ジャン・ハナ、9位エイミー・ヤンとトップ10に5人が入っている。

その実力は米国女子ツアーで如実に表れており、今季序盤の6大会のうち4つの優勝カップを手にしたのも韓国人選手で、ここまでの14大会で韓国人選手が53回もトップ10に入った。しかし、そんな韓国勢に今、急ブレーキがかかっている。

5月30日に閉幕した「LPGAボルヴィック選手権」でトップ10入りしたのは、6位タイのキム・ヒョージュのみ。14大会中、最も悪い成績だ。そして最近8大会で、韓国人選手が優勝したのも1つだけ。なぜ失速してしまったのだろうか。

まず原因として挙げられるのが、韓国女子ゴルフ史上最強最高の絶対王者パク・インビの負傷だ。もともとスロースターターと呼ばれる彼女だが、今季はシーズン開幕から腰の痛みがとれず、最近は指の負傷まで重なってしまった。ここまで9大会に出場しているが、3月末の「キア・クラシック」で2位、「ANAインスピレーション」で6位タイを記録したのがやっと。直近の「キングスミル選手権」と「LPGAボルヴィック選手権」は棄権している。

絶対王者が負傷で苦しむなか、韓国勢を支えたのは「コーツ・ゴルフ選手権」と「HSBC女子チャンピオンズ」で優勝を飾ったジャン・ハナだ。しかし彼女は、チョン・インジと3月頭に“カバン事件”を起こしてしまう。その直後の大会では優勝したが、ジャン・ハナは4月末の「スインギング・スカートLPGAクラシック」を棄権した以降、大会出場すらできていない。ストレスによる不眠症と貧血で、大会出場すらおぼつかない深刻な打撃を受けている状態だ。

(参考記事:米国で快進撃を続けるジャン・ハナに降りかかった疑惑と“カバン事件”

「コーツ・ゴルフ選手権」3位タイ、「ホンダLPGAタイランド」2位など好調で、昨年は日米韓のメジャー大会を制した“若き女王”チョン・インジもその影響を受けているのかもしれない。今季から米国女子ツアーに本格参戦した彼女は、序盤4大会で準優勝3回、3位1回という抜群のスタートを切った。しかし、最近の4大会でトップ10入りは1回だけ。「JTBCファウンダーズ・カップ」を制したキム・セヨンも「LPGAボルヴィック選手権」では16位タイがやっとで、世界ランキングを1つ落としてしまっている。

韓国メディアは「赤信号が灯った韓国女子ゴルフ、リオ五輪メダル戦線に黒雲」(『韓国日報』)などと報じた。

こうなると期待が高まるのは、昨季日本女子ツアー賞金女王のイ・ボミではないだろうか。イ・ボミの世界ランキングは現在16位。4人の出場枠を争っている韓国勢としては、8番目のポジションという厳しい順位だが、本人にはまったく諦めている様子はない。つい先日も母校の記念行事に参加し、オリンピックについても胸のうちを明かしている。

(参考記事:母校の100勝達成記念行事に参加したイ・ボミ「アメリカ進出はない。これからも日本でプレー」

それでも、いくらトップ10入りの選手たちに急ブレーキがかかっているとはいえ、ユ・ソヨン(12位)、前出のキム・ヒョージュ(14位)など、まだまだ手強い選手は多い。

いずれにせよ、“五輪当確”と言われているパク・インビが負傷しており、“ほぼ内定”のジャン・ハナが大会出場すら難しい現状となれば、五輪出場権争いは今後ますます熾烈なものになることは必至だろう。

はたしてイ・ボミは不屈の精神で闘い抜き、“奇跡”を起こすことができるだろうか。また、世界ランキング上位陣は巻き返しを図れるのか。7月11日まで続く韓国女子ゴルファーたちのサバイバルに注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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