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【解散総選挙】永田町で急速に広まる「9月解散、10月22日総選挙」説。

安積明子政治ジャーナリスト
衆院選の後も自民党の優位は維持されるのか(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

10月22日を視野にした“小池新党”

 永田町で早期解散説が急速に広まっている。日本ファーストの会を設立した若狭勝衆議院議員も、次期衆議院選に向けた新党結成時を「10月10日まで」と設定した。10月10日は衆議院補選の告示日で、10月22日には愛媛3区と青森4区で衆議院補選が行われる。いずれも自民党現職の死去による「弔い合戦」で、自民党にとって断然有利なはずだが、実際にはそうでもない。

 中でも愛媛3区は後継として死去した現職の次男が手を挙げたが、その素行についての怪文書が飛びまくっている。もし1議席でも落とせば、情勢は自民党に不利になりかねない。ならばいっそこの日に総選挙に持ち込もうというのが、早期解散説のひとつの根拠だ。

 もうひとつは内閣支持率だ。森友学園問題や加計学園問題で下落傾だった内閣支持率は、毎日新聞が26%から35%、共同通信が35.8%から44.4%など、8月3日の内閣改造で上昇に転じている。

改造は解散総選挙を前提

 そもそも総務大臣に野田聖子氏、外務大臣に河野太郎氏を迎えた「結果本位の仕事人内閣」は、まさに第2次安倍政権の総決算ともいえる布陣。「戦時体制内閣」であることは明らかだ。

 「お友達内閣」の批判をかわすためにずっと重用してきた高市早苗前総務大臣を外したのも、選挙が近い証拠ともいえるだろう。奈良県は区割りによって小選挙区が変更される。区割り変更はまさに政治家にとって死活問題で、重要なポストに就いていると、地元に張り付くこともできない。

 蓮舫代表辞任にともない9月1日に代表選を行う民進党は、早期解散総選挙どころではないが、8月10日に細野豪志元代表代行の「離党」を認めた点に注目だ。同じく離党を表明した藤末健三参議院議員や長島昭久衆議院議員には厳しい「除籍処分」を下されたが、細野氏の場合はその先の「何かしらの連携」が視野に入っているためだろう。大甘処分の名目は「これまでの党への貢献」だが、今の民進党には党の危機に乗じて出て行こうとする人に情をかける余裕があるのか。

年内選挙はほぼ確実

 一方で年を明ければ新党が結成され、自民党にとって有利な状況は見いだせない。となれば、ますます「9月末解散・10月22日投開票説」はは強くなる。12月の選挙を歓迎する声もある。2012年、2014年と、12月の衆議院選で自民党は勝ってきたからだ。

 いずれにしろ、支持率が下がらないうちに解散が打たれる可能性は大きい。衆参両院で3分の2以上を制している現状から、自民党が「勝つ」のはほぼ不可能だが、ではいかに「負けない選挙」を展開するのか。政治家の決断と幕引きは、歴史だけが評価できる。

 

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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