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藤井聡太王位(20)先手で王位戦第4局開始 豊島将之挑戦者(32)が56手目を封じて1日目終了

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月24日。徳島県徳島市・渭水苑において、お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第4局▲藤井聡太王位(20歳)-△豊島将之挑戦者(32歳)戦1日目の対局がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 両者の過去の通算対戦成績は、藤井15勝、豊島11勝です。

 今期七番勝負はここまで藤井王位2勝、豊島挑戦者1勝です。

 第4局は8月15日・16日、佐賀県嬉野市・和多屋別荘でおこなわれる予定でしたが、豊島挑戦者の新型コロナウイルス感染により、延期となりました。

 本局前日、両対局者は次のように語っていました。

藤井「第3局(7月20日・21日)から1か月以上空く形になりましたけど、その間も、第4局に向けて準備してきたというところもあるので。明日、それを活かしてしっかり、一手一手考えて戦っていければなというふうに思っています」「第4局が延期になって、少し時間ができたところはあったので。ちょうどそれがお盆の期間ということで。自分としてももちろん、将棋の勉強をしながらも、少しリラックスして過ごすこともできたのかな、というふうに思います」

豊島「コロナ感染によって嬉野対局が延期になってしまって。多くの方にご迷惑とご心配をおかけして、大変申し訳なく思っています。コロナ感染はあったんですけど、現在体調は回復していますので、そこからは対局に集中して指していけたらと思っています」「コロナ感染する前は対局がけっこう、他の対局がたくさんあったので、その対局を指しながら、第4局に向けて研究を進めたりしていて。感染してからはやっぱり休養が大事だと思ってましたので。なるべく身体を休めるように心がけていました」

 本局の立会人を務めるのは元王位・木村一基九段です。2019年、2020年の熱い夏を思い起こす方も多くおられるでしょう。

 朝9時。立会人の木村九段が声をかけます。

木村「定刻になりました。王位戦第4局、藤井王位の先手番で対局を始めてください」

 藤井王位、豊島挑戦者は「お願いします」と一礼。持ち時間各8時間、2日制の対局が始まりました。

 藤井王位はマスクを少しずらして、茶碗に注がれているお茶を一服。そして初手、飛車先の歩を突きました。豊島挑戦者もまた2手目、飛車の上の歩を一つ進めます。進んで戦型は、角換わり腰掛銀となりました。

 玉を少しずつ移動させて間合いをはかりあったあと、43手目、藤井王位は銀をぶつけました。銀も交換になり、互いの駒台には角1枚、銀1枚ずつがそれぞれ乗せられました。

 昼食休憩再開後の51手目。藤井王位は三段目に玉を上がります。定跡形をはずれ、あとは力と力の勝負という進行でしょうか。ABEMAで解説をしているのは深浦康市九段です。

深浦「なんかちょっと、山崎(隆之)八段とか、佐藤康光九段のにおいがしますよね。そのお二人にさせたらすごい強そう。まあ、木村九段もそうですけど、玉が上にいくとなにやらね、違うにおいがしますよね」

 深浦九段もまた王位3期などの実績を誇る名棋士です。

 午後は互いに時間を使い合ってのスローペースとなりました。

 夕方18時。盤側の木村九段が声をかけます。

木村「定刻になりました。豊島九段、次の手を封じてください」

 小さくうなづく豊島挑戦者。そこからさらに約2分考えました。

豊島「じゃあ、封じます」

木村「はい」

 形勢、消費時間ともにほぼ互角のまま、1日目の対局が終わりました。

 またハードスケジュールの日々が始まる豊島挑戦者。本局のあとには8月31日、永瀬拓矢王座(29歳)に挑戦する王座戦五番勝負も始まります。

 10月から竜王防衛戦が始まる藤井五冠。挑戦者は広瀬章人八段に決まりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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