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羽生善治九段(49)25手詰を読み切って王将戦リーグ2連勝 次戦いよいよ藤井聡太七段(17)と対戦

松本博文将棋ライター
羽生九段は2連勝で挑戦権争いのトップに立つ(画像作成:筆者)

 10月18日。東京・将棋会館において王将戦リーグ▲羽生善治九段(1勝0敗)-△久保利明九段(0勝1敗)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は19時33分に終局。結果は143手で羽生九段の勝ちとなりました。

 リーグ成績は羽生九段2勝0敗、久保九段0勝2敗となりました。

羽生九段、厚みを築いてスクラムトライ

 羽生九段は王将位通算12期。永世王将の資格保持者です。一方の久保九段は前王将で、通算4期。両者ともに王将戦の歴史を語る上ではずすことのできない名棋士です。

 本局、後手番の久保九段の作戦は、角道をオープンにしたままの四間飛車でした。そして角交換から向かい飛車へとスイッチします。

 互いに自陣に角を打ち合っての中盤戦。羽生九段は自玉の上部に厚みを築きながら、銀を前に進めて久保陣にプレッシャーをかけます。久保九段は、振り飛車のさばきの巧みさにかけては棋界随一です。その久保九段にさばきの手段を与えぬよう、羽生九段は押さえ込みの態勢を築きました。

 羽生九段は久保陣に歩を並べ、スクラムで押し込むように力を加え、と金を作ることに成功します。粘りにかけても定評のある久保九段も、こうなっては抗戦が難しくなりました。

 最終盤、羽生九段にはいくつかの勝ちの手段があったようです。その中で羽生九段は、きっぱりと長手数の詰みを読み切りました。全部で25手詰です。史上最強の棋士らしい、実に鮮やかな決め方でした。

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 羽生九段は2連勝と星を伸ばして、リーグで唯一の無敗をキープしました。一方の久保九段は2連敗。渡辺明王将へのリターンマッチは、やや厳しくなったかもしれません。

次戦いよいよ、羽生九段-藤井七段戦

 本日18日は本局とともに▲糸谷哲郎八段-△藤井聡太七段戦もおこなわれていました。そちらは一足早く、藤井七段の勝ちとなっています。

【前記事】

天才・藤井聡太七段(17)39手詰を読み切って糸谷哲郎八段(31)に勝利 佳境の王将戦リーグ

 羽生九段(2勝0敗)と藤井七段(2勝1敗)は、3日後の10月21日(月)、いよいよ対戦の日を迎えます。

 王将復位、そしてタイトル通算100期を目指す将棋界のレジェンド羽生九段がここで貫禄を示すのか。それとも史上最年少のタイトル挑戦、獲得を目指す天才藤井七段が新しい時代を切り開いていくのか。今期王将戦リーグだけではなく、今後の将棋界の行方をうらなう歴史的な一局となるかもしれません。ただただ、必見です。

【追記】

ハードスケジュールの羽生九段。藤井七段戦の翌日、10月22日には「即位礼正殿の儀」に出席するそうです。

https://this.kiji.is/557865998025311329?c=39550187727945729

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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