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「iPhone 6」にこれまでと違う需要パターン、発売から9カ月、いまだ需要衰えず

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

投資情報誌の米バロンズや、アップルの情報に詳しい米アップルインサイダーによると、iPhoneの現行モデルである「iPhone 6」と「同6 Plus」は発売から9カ月経過したにもかかわらず、その人気はいまだ衰えないという。

中古価格が依然高値で推移

これらの記事によると、アップル製品の市場動向に詳しい米投資会社パイファー・ジャフリーのジーン・マンスター氏が、両モデルの中古価格を調べたところ、依然高い水準で推移していることが分かった。

マンスター氏は、iPhoneの売り上げの大半を占める米国と中国で、それぞれの中古価格を調査した。

それによると、米国ではiPhone 6と同6 Plusが発売されてから9カ月たつが、現在の中古価格はともに新品小売価格の72%だった。これに対し、前モデルの「iPhone 5s」「同5c」の発売から9カ月後の、新品価格に対する中古価格比率は、それぞれ60%と48%だった。

高価格端末市場で引き続きシェア拡大

一方、中国ではiPhone 6/6 Plusが発売されてから8カ月がたっている。その現在の中古価格比率はともに73%。これに対しiPhone 5s/同5cの同じ期間経過後の中古価格比率はそれぞれ65%と53%だった。

「中古価格から推測することは、完全な科学的分析とは言えないが、iPhone 6/同6 Plusに対する需要が依然堅調であることを示している」と同氏は述べ、iPhoneは高価格スマートフォン市場で引き続きシェアを伸ばす、と予測している。

同氏は、米国ではイーベイ(eBay)、中国ではアリババグループ(阿里巴巴集団)のタオバオ(淘宝網)で取引されるiPhoneの価格を調査した。

アップルインサイダーによると、パイファー・ジャフリーは2013年からこの2つのオンラインマーケットプレイスにおけるスマートフォンの価格を調べており、その平均価格と新品価格の比率を週ごとにまとめている。

アップルインサイダーが掲載したその集計表を見ると、韓国サムスン電子の「Galaxy S5」の発売から9カ月後の米国における中古価格比率は47%だった。

これはiPhone 6の72%を大きく下回っている。また同端末の発売から8カ月後の中国における中古価格比率は38%で、こちらもiPhone 6の73%を下回っている。iPhone 6シリーズは依然高値で取引されており、その人気の高さがうかがえるという。

4〜6月期も記録更新との予測

一方で、iPhoneの今年4〜6月期における販売台数は5300万台になるとの報道もある。これは米モルガン・スタンレーのアナリスト、ケイティー・ヒューバーティー氏が報告したものだが、もしこの予測が正しければ、iPhoneは4〜6月期の販売台数記録を更新するだけでなく、四半期ベースで過去3番目の台数を達成することになる。

iPhone 6シリーズは昨年9月19日に発売されたが、これを含む昨年7〜9月期のiPhone全販売台数は3927万台だった。

これが昨年10〜12月期に7447万台へと急伸し、四半期販売台数の記録を塗り替えた。そして今年1〜3月期は6117万台となり、前四半期に次ぎ過去2番目の台数となった。

iPhoneの販売台数は毎年この時期減速サイクルに入るが、モルガン・スタンレーのヒューバーティー氏は、今年は4〜6月期も強い需要があると見ている。新興国市場、とりわけ中国市場がiPhoneの成長を支えると、同氏は分析している。

JBpress:2015年6月26日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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