iPhoneの現行モデル、減速期ながら世界市場で健闘、発売直後のサムスン端末に首位譲らず
カンター・ワールドパネルが公表した最新リポートによると、今年5月における英国スマートフォン機種別販売台数ランキングで、米アップルの現行モデル、アイフォーン5sと同5cが、それぞれ1位と2位になった。
サムスンの最新モデル3位に入るもiPhoneの壁高し
これに次ぎ3位に入ったのは韓国サムスン電子の旗艦モデル「ギャラクシー(GALAXY)S5」。サムスンの同モデルは、欧州で発売されてから5月末で丸1カ月が経過した。
大々的に宣伝され、華々しいデビューを飾ったものの、発売後8カ月が過ぎたアイフォーンを追い抜くことはできなかったという。
ただし欧州5カ国(英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン)でギャラクシー S5 を購入した人のうち、17%はアイフォーンからの買い替えで、「ギャラクシー S5 はアップルから一定の顧客を奪うことに成功した」(カンター)という。
これを米国市場で見ると、1位はアイフォーン5s、2位はギャラクシー S5。3〜5月におけるメーカー別販売台数シェアはアップルが32.5%で、サムスンはそれを上回る36.8%でトップだった。
ただ、米国ではアップルに対する顧客ロイヤリティー(忠誠心)が高い。ギャラクシー S5 を購入した顧客のうちアイフォーンからの買い替えは8%にとどまっており、サムスンはアップルというよりは、韓国LGエレクトロニクスや、台湾HTC(宏達国際電子)から顧客を奪っているという。
米国のiOSシェア、季節要因で低下
今年3〜5月のスマートフォン基本ソフト(OS)別販売台数シェアを見ると、米国市場では、アンドロイドが61.9%、アップルのiOSが32.5%、ウィンドウズフォンが3.8%、ブラックベリーが1.3%だった。
アイフォーンは2世代前の「4S」から毎年9〜10月に発売されている。このため10〜12月期に販売がピークに達し、そのあと減速期に入り、4〜6月期は最も台数が少ない四半期となる。
米フォーブスがまとめたデータによると、2012年1月から2012年5月の期間(アイフォーン4S時代)にアイフォーンのシェアは12.2ポイント低下した。また2012年11月から2013年5月の期間(アイフォーン5時代)では11.4ポイント低下した。
もし、噂されている次期モデル「iPhone 6」が今秋発売されなければ、アイフォーンのシェアはその後も低下が続く。だがそれは考えられず、今回の落ち込みは単に季節要因によるものだとフォーブスは指摘している。
日本市場では5割超のシェア
なお興味深いのは日本市場だ。
カンターのデータによると今年3〜5月の日本におけるOS販売台数シェアは、iOSが51.7%でトップ。このあとアンドロイドの47.0%、ウィンドウズフォンの1.4%と続いている。iOSのシェアが5割を超えている市場はほかにはなく、アップルにとって日本は重要な市場となっている。
ただ、日本におけるiOSの伸びは1年前から2.1ポイント増と、小幅にとどまった。日本ではNTTドコモが昨年9月に初めてアイフォーンを販売したのにもかかわらず、それほど伸びなかった。
これは、日本のスマートフォン市場がすでに飽和状態にあるか、消費税増税の反動で4月以降の販売が落ち込んだかのどちらかだとフォーブスは報じている。
IDCジャパンによると、昨年4〜6月期に36.1%だったアイフォーンの国内出荷台数シェアは、ドコモが参入した7〜9月期に54.1%へと伸びた。その後10〜12月期は51.3%と推移し、今年1〜3月期は67.4%へと急拡大した。
こうして見ると、1〜3月期の急伸は、やはり増税前の駆け込み需要が要因と言えるのかもしれない。
(JBpress:2014年7月3日号に掲載)