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前人未到の道を歩み続ける羽生善治九段(51)B級1組初戦で勝ち通算1500勝達成!

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 6月16日。大阪・関西将棋会館においてB級1組1回戦▲山崎隆之八段(41歳)-△羽生善治九段(51歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は20時56分に終局。結果は82手で羽生九段快勝となりました。

 名人位9期を含め、29期連続でA級に在籍して羽生九段。A級復帰に向けて、幸先よいスタートを切りました。

 また本局の勝利で通算1500勝を達成しました。

羽生善治九段「(戦型は後手番で横歩取り)そうですね。一応、予定の作戦で、これでいこうとは思ってました。ただどういう展開になるのか、やってみないとわからないと思いながら指していました。似たような将棋を前に指したことがあったので、それをベースにして指していたというところ。微妙に形は違うんですけど、似た将棋を指したことはあったんで、それに沿ってやっていました。(54手目からは攻める展開になった)いやでも(58手目)飛車を使うかは躊躇があったんですけど、ちょっとほかの手も見当たらなかったんで、まあ思い切ってやったのがよかったのかもしれません。(1992年度以来、久しぶりのB級1組での対局)そうですね。前のときは昔すぎてあんまり覚えてないんで。新たな気持で今日の一局は迎えました。いいスタートが切れてよかったです。ただまあ、長丁場なので、まだまだこれからだと思っています。(公式戦で通算1500勝を達成)そうですね、まあ、一つ一つの積み重ねの中で、一つの節目を迎えることができて、うれしく思っています。(2007年、1000勝を達成したときも関西将棋会館での対局だった)そうですね、もちろん記憶としてはありますが、あまり意識せずに対局しようと思っていました。(勝てば1500勝と知って対局に臨んだ?)そうですね、一応、事前には知っていましたけど。まあまあでも、自然体で臨めたらいいなと思ってました。(1000勝から500勝を積み重ねた思いは)なんというか、ずいぶん長く棋士をやってきたんだなあ、ということも実感しました。(谷川浩司17世名人からコメント)いやもうありがたい限りで(一礼)。非常にはげみになります。これで終わりということではないので、変わらずに、前を向いて進んでいけたいいなと思ってます」

山崎隆之八段「序盤からずっと苦しかったかなと思います。難しい場面も一瞬あったかどうかというところで。そこで少しうっかりがあったというか。駒がやっぱり前に出ていかない手を選んでしまって。自分の実力が出てしまったな、というところで。本当に節目の対局で注目の一番なんですけど、ちょっと形も作れなかったので、申し訳ないなという感じです。(羽生九段が勝ったら1500勝というのは)はい、知ってました。(長丁場の順位戦、これからに向けて)B級1組は強敵揃いですので、とりあえず駒が前にすすむというか、勢いよく指せるようにしていかないと、ちょっと戦えないので、これから少しずつ改善していかなければと思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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