Yahoo!ニュース

WBA/WBC/WBOスーパーミドル級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 9月14日にセットされたWBA/WBC/WBOスーパーミドル級タイトルマッチに関する記者会見が行われた。IBFタイトルは剥奪されたが、依然として168パウンドでトップに君臨するサウル・”カネロ”・アルバレスに、22戦全勝17KOのエドガー・ベルランガが挑む。

 挑戦者は、生まれも育ちもニューヨークという27歳のプエルトリカンで、同国でノックアウトアーティストと呼ばれる。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 現地時間5日の記者会見における両者の言葉をご紹介しよう。

 61勝(39KO)2敗2分のチャンピオンは言った。

 「メキシコvs.プエルトリコ、国の威信を懸けた代表者としてこの立場に立つことができ、光栄だ。若いファイターと強いファイターの対戦という図式になるな。だからこそ、試合に向けたトレーニングに全力を注ぐ。俺はボクシングを愛しており、自分の足跡に誇りを持っている。メキシコにとって素晴らしい日にするつもりだ。

 ファンにとって喜ばしい一戦だ。彼は、何か違うものを持ってリングに上がるだろう。皆さんの記憶に残るような戦いになる。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 彼はすべてを出し尽くすだろうし、こちらもそうする。楽しみで仕方ない。待ち切れないぜ。メキシコvs.プエルトリコの二国の間には、多くの伝説的な戦いがあった。我々の試合も新たな章を加え、ボクシング界にとって素晴らしい夜となるさ。

 彼が俺と戦うことを夢見てきたなら、完璧なシナリオだ。彼は夢を叶えるが、肉体的には傷つくだろうな」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 エドガー・ベルランガも話した。

 「私はこれまでずっと、懐疑的な視線を向けられてきた。人生の大部分で逆境に立たされていた。でも今回は、私にとってボクシング界の伝説になるチャンスだ。9月14日は忘れられない日になるだろう。プエルトリコvs.メキシコはボクシングにおいて最大のライバルだ。この手で歴史を作ってみせる。

 自分が世界タイトルを持っていたとしても、どうせ見下されるさ。プロになった折、誰も私とは契約したがらなかった。だから、地面に深く足を突っ込んで仕事をした。今も同じ立場にいるような気がする。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 カネロは間違いなく私の力を最大限に引き出すだろう。当日、彼の目の前には史上最高のエドガー・ベルランガがいる。試合の度に、自分の能力も向上している。

 この戦いは知恵が左右する。我がチームは、彼が苦しむ策を遂行しなければならない。そのせめぎ合いになるだろうな。私たちは逃げない。この場所に留まり、やるべきことをやる。

 20年間ボクシングをやってきた。ずっと、この試合を夢見てきたよ。プロになった日、私の頭の中にあったのはカネロだった。9月14日までに、こなすべき作業がある」

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 カネロは2021年11月のファイトを最後に、KO勝ちから遠ざかっている。34歳という年齢も気になる。27歳の挑戦者は、確かに何かやってくれそうだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事