アップル、業界利益の9割超を1社で稼ぐ iPhoneの利益シェアは依然断トツ
米ウォールストリート・ジャーナルの報道によると、スマートフォンを販売することでメーカー各社が得る営業利益は、米アップルのそれが業界全体の実に92%を占めており、断トツなのだという。
大幅上昇した営業利益シェア
これはカナダの投資銀行、カナコード・ジェニュイティが公表した推計だ。
スマートフォンメーカー上位8社の今年1〜3月期における営業利益を調査したもので、これによるとアップルの営業利益シェアは1年前の同じ時期の65%から大きく上昇したという。
そしてこれに次いだのが韓国サムスン電子の15%。
同行のマネージングディレクターであるマイケル・ウォークリー氏よると、この2社の利益シェアが100%を上回っているのは、市場では多くのメーカーが収支とんとん、あるいは採算割れという状況にあるからだという。
たとえばカナダのブラックベリーの利益シェアは0%、中国レノボ・グループ(聯想集団)の利益シェアはマイナス1%だと同行は報告している。
iPhoneは188億ドル、Androidは24億ドル
このウォールストリート・ジャーナルの報道では具体的な金額は示されていないが、これに先立ち米国の調査会社ストラテジー・アナリティクスが昨年10〜12月期におけるOS別営業利益についてリポートしていた。
それによると、アップルがiPhoneを販売したことで得た同四半期の営業利益は188億ドルで、1年前の114億ドルから大幅に増えた。一方でAndroid端末メーカーの同四半期における営業利益の合計額はわずか24億ドルで、1年前から半減した。
また同四半期のOS別営業利益シェアは、iOS(iPhone)が88.7%で、1年前から18.2ポイント上昇。これに対しAndroidは11.3%で、同18.2ポイント低下。このあと米マイクロソフトやブラックベリーなどのOSが続いたが、いずれもシェアはほぼ0%だった。
こうした、iOSとAndroidの営業利益シェアは、出荷台数をベースにしたほかの調査とは対照的だ。たとえば米IDCがまとめた昨年10〜12月期の出荷台数シェアは、Androidが76.6%、iOSが19.7%だった。
iPhoneの強みは高い販売価格
ウォールストリート・ジャーナルも今回の報道で、iPhoneの世界スマートフォン市場における販売台数シェアが20%に満たないことを考えると、その92%という利益シェアは驚くべきものだと伝えている。
同紙によると、iPhoneの強みはその販売価格にあるという。
昨年におけるiPhoneの世界平均販売価格は624ドルだった。これに対しAndroid端末の平均販売価格は185ドル。
一方iPhoneの平均販売価格は今年1〜3月に659ドルに上昇したが、その販売台数は1年前から40%増えている。これは「iPhone 6」「同6 Plus」の効果だという。iPhoneは画面が大型化したことで平均価格も上昇したが、同時に人気も増したというわけだ。
アップルの決算資料を見ると、今年1〜3月のiPhoneの売上高は前年同期比で55%増加。1年前に57%だった同社全売上高に占めるiPhoneの売上比率は69.4%に上昇した。
ライバルは軒並み業績不振を報告
ウォールストリート・ジャーナルは、アップルの好調ぶりとライバルメーカーの不振ぶりを比較して伝えている。
たとえばサムスンは先頃、今年4〜6月期の営業利益が、7四半期連続で前年実績を下回るとの見通しを明らかにした。台湾HTC(宏達国際電子)は今年4〜6月期の純損益が2億6100万ドルの赤字になったと報告した。
昨年4月フィンランドのノキアから携帯電話事業を買収したマイクロソフトは先週、最大7800人の従業員削減策と、同事業買収に関し約76億ドルの減損処理を実施する計画を発表した。
一方アップルについては、過去最大規模となる8500万〜9000万台の次期iPhoneを年末までに製造するようサプライヤーに依頼したと伝えられた。
(JBpress:2015年7月14日号に掲載)