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3チームで背番号「99」は、メッツに入団した投手が史上初ではなく、過去には日本人選手も

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイワン・ウォーカー(ニューヨーク・メッツ)Feb 24, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 トロント・ブルージェイズからFAになっていたタイワン・ウォーカーが、ニューヨーク・メッツと2年2000万ドルの契約を交わした。

 昨シーズン、ウォーカーはシアトル・マリナーズとブルージェイズに在籍し、それぞれ「99」と「00」を背負って投げた。メッツ入団に際し、ウォーカーはツイッターで「どっちの背番号?」と二択のアンケートを実施。2万7358票の内訳は、「00」が52.2%、「99」は47.8%だった。ウォーカーは、この結果どおりにしようと思っていたようだ。下のツイートの写真(おそらく合成)からも、そのことが窺える。

 ただ、ウォーカーは、「00」ではなく「99」を選んだ。メッツのビート・ライター、アンソニー・ディコモ(MLB.com)らによると、ウォーカーが「99」にしたのは、メッツのマスコット「ミスター・メット」が「00」を使用しているからだという。

ミスター・メット Aug 11, 2020
ミスター・メット Aug 11, 2020写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 マスコットと同じ背番号を嫌ったわけではないらしい。むしろ、リスペクトと呼ぶべきかもしれない。現在、選手会の事務局長を務めているトニー・クラークは、メッツでプレーした2003年のシーズン途中に、背番号を「00」から「52」へ変更した。それについては、昨年6月に「両投げ投手が登場◆背番号をマスコットに「譲った」選手◆初の開閉式屋根…【6月5日のMLB】」で書いた。ウォーカーも、当時のクラークと同じように考えたのではないだろうか。

 ウォーカーが背番号「99」のユニフォームを着るのは、メッツが3チーム目となる。2017~19年のアリゾナ・ダイヤモンドバックス時代も、ウォーカーの背番号は「99」だった。

 ベースボール・リファレンスによれば、3チームで「99」を背負ってプレーした選手は、これまでに3人いる。ミッチ・ウィリアムズは、フィラデルフィア・フィリーズ(1993年)とヒューストン・アストロズ(1994年)とカリフォルニア・エンジェルス(1995年)の3チーム。ターク・ウェンデルは、メッツ(1997~2001年)とフィリーズ(2001年)とコロラド・ロッキーズ(2004年)。田口壮は、セントルイス・カーディナルス(2002~07年)とフィリーズ(2008年)とシカゴ・カブス(2009年)だ。いずれも、フィリーズが共通する。

 ウォーカーを含めた4人中、野手は田口だけだ。また、1チームあるいは2チームで「99」の選手を含めても、使用年数は田口が最も長い。今シーズン、ヒョンジン・リュ(ブルージェイズ)が田口に並ぶ。リュは、2013~19年のドジャースでも「99」だったが、2015年は肩の手術を受けて全休したので、今シーズンがメジャーリーグ8年目となる。ちなみに、リュは韓国プロ野球でも「99」だった。

 なお、ウォーカーがダイヤモンドバックスで「99」を選んだのは、その前にマリナーズ――マリナーズには2度在籍している――で使用していた「44」が空いていなかったのが理由だ。当時、ダイヤモンドバックスの「44」は、ポール・ゴールドシュミット(現カーディナルス)のものだった。また、昨夏にマリナーズからブルージェイズへ移った際は、そこにリュがいた。

 メッツの「99」は、ウェンデルに続き、ウォーカーが2人目となる。「初代」は「二代目」に、動物の歯のネックレス、リコリス、歯ブラシを贈った。ウェンデルは、こんなネックレスを身につけ、試合中にリコリスを食べ、イニングの合間には歯を磨いていた。

 ウォーカーがこれらのアイテムを登板時に使うのであれば、ウェンデルと同じように、マウンドとダグアウトを行き来する時、ファウル・ラインを踏まないようにジャンプするのも忘れないでほしい。ちなみに、ウェンデルとウォーカーは、同じイニシャル。どちらもTWだ。

左端がターク・ウェンデル(ネックレス)、右端は森喜朗 Sep 8,2000
左端がターク・ウェンデル(ネックレス)、右端は森喜朗 Sep 8,2000写真:ロイター/アフロ

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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