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この大投手は、ワールドシリーズが苦手!? 通算7登板で0勝6敗、防御率5.68。今年は第1戦に登板

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)Oct 27, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)は、レギュラーシーズンに244勝を挙げ、3198三振を奪っている。これらは、歴代55位前後と歴代12位に位置する。また、ポストシーズンでは、歴代2位タイの15勝と歴代最多の219奪三振を記録している。

 ワールドシリーズに出場するのは、3年ぶり5度目だ。これまでの4度は、デトロイト・タイガース時代の2006年に2登板と2012年に1登板、アストロズへ移ってからは2017年と2019年に2登板ずつ。いずれも、先発マウンドに上がった。

 ただ、その結果は芳しくない。38.0イニングで防御率5.68(0勝6敗)だ。ベースボール・リファレンスによると、ワールドシリーズで先発5登板以上の76投手中、シリーズ通算の防御率が5.00以上の投手は、4人しかいないという(防御率はリリーフ登板も含む)。他の3人は、ドン・ニューカムが防御率8.59(0勝4敗)、カール・アースカインが防御率5.83(2勝2敗)、ドン・サットンは防御率5.26(2勝3敗)。一方、最も低いサンディ・コーファックスは、防御率0.95(4勝3敗)を記録している。ちなみに、クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)は、防御率4.46(3勝2敗)だ。

 もっとも、バーランダーは、ポストシーズンを苦手としているわけではない。9度のディビジョン・シリーズは、先発13登板とリリーフ1登板で防御率3.08(8勝1敗)。8度のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、先発12登板で防御率3.01(7勝4敗)。どちらの防御率も、ほとんど変わらない。ポストシーズン通算の防御率は3.55だ。

 今年のワールドシリーズで、バーランダーは第1戦に登板する。MLBネットワークによると、3つのディケイドでワールドシリーズの先発マウンドに上がった投手は、ロジャー・クレメンスしかいなかったという。バーランダーは、2000年代と2010年代に続き、2020年代が3ディケイド目となる。クレメンスの3ディケイドは、1980年代(1986年)、1990年代(1999年)、2000年代(2000、01、03、05年)だ。通算8登板で防御率2.37(3勝0敗)を記録している。

 なお、39歳のバーランダーは、第1戦で10歳下のアーロン・ノラ(フィラデルフィア・フィリーズ)と投げ合う。ノラは、この試合がワールドシリーズ初登板だ。プロ入り以来、ずっとフィリーズで過ごしてきて、先月までは、ポストシーズンで投げたこともなかった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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