ハーランドはどこに移籍するのが「正解」なのか?バルサ、レアル、シティ、バイエルン...大金が動く予感
アーリング・ハーランドの周囲が騒がしくなってきている。
ハーランドは今季、公式戦32試合に出場して33得点を記録している。マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、バイエルン・ミュンヘン、チェルシー、パリ・サンジェルマン、レアル・マドリー、バルセロナ...。欧州のビッグクラブがすでに彼の獲得に向けて動き始めている。
「ハーランドを獲得できるのは10クラブのみだ。彼らだけがドルトムントの次の場所をハーランドに用意できる。そのうちの4クラブはイングランドにある」とミーノ・ライオラ代理人はイギリス『BBC』に話している。
「全世界がハーランドに注目しており、彼が新しいスタープレーヤーになると考えている。彼の年齢であれだけのキャリアを築いてきているのだから当然だ」
■鮮烈なインパクト
この2シーズン、ハーランドが残したインパクトは強烈だった。
2019年5月に行われたU-20ワールドカップにノルウェー代表のメンバーとして臨み、グループステージのホンジュラス戦で1試合9ゴールを記録した。その年の9月にA代表デビューを飾っている。しかし、思えばまだそれから1年半しか経っていないのだ。
2019-20シーズン、ハーランドの活躍の舞台は欧州最高峰の大会だった。チャンピオンズリーグに参戦したザルツブルクでハーランドは大暴れする。グループステージ開始から最初の3試合で6得点を挙げ、勢いそのままにCL5試合連続得点でアレッサンドロ・デル・ピエロ、シェリー・レブロフ、ネイマール、クリスティアーノ・ロナウド、ロベルト・レヴァンドフスキのレコードに並んだ。
ザルツブルクで公式戦22試合28得点7アシストを記録したハーランドをめぐり、争奪戦が繰り広げられようとしていた。いち早く動いたのはボルシア・ドルトムントだった。ドルトムントは19-20シーズンの冬の移籍市場で、移籍金2000万ユーロ(約25億円)でハーランドを確保した。
2024年夏までの契約を結び、ハンス=ヨアヒム・ヴァツケCEOは「多くのオファーを受けながらハーランドはドルトムントを選んでくれた。我々のスポーツプロジェクトと将来への展望を聞いて決断してくれた。粘った価値があった」と述べた。
「ロッカールームで受け入れられている選手は悪い選手になりようがない」と語るのはヤン・オーゲ・フィヨルトフトだ。
フィヨルトフトは現役時代にハーランドの父親であるアルフ=インゲ・ハーランドと一緒にプレーした人物だ。ノルウェー代表としてキャップ数71を誇る。現在は主に母国メディアで解説者として働いている。
「味方の選手が作ったスペースや相手のミスで生まれたスペースを生かすFWの選手がいる。だがハーランドは自分でスペースメイキングができる」
「ハーランドはブリンの小さな町で生まれ育った。体育館でフットボールを始めた。子どもの頃の彼は身長が低かったんだ。成長期が訪れるのが遅かった。フィジカルが弱かったために、自分の体格に頼らず、コンタクトプレーで優位に立てると考えずにプレーしなければいけなかった。彼のテクニックや柔軟性はそこからきている。ボールキープ、空中戦の強さというのは、今後まだ良くなるだろう。彼はフットボールを愛しており、試合に臨むという意味で素晴らしいメンタリティーを備えている」
ハーランドの契約解除金は7500万ユーロ(約96億円)に設定されているといわれている。だが2021年夏にその契約解除金が支払われた場合について問われたヴァツケCEOは先日「そういった合意は存在しない」と否定した。
「クラブとしては、プランを提示して選手を説得するだけだ。ハーランドと彼の代理人を納得させ、今後もドルトムントでプレーしてくれるように願っている。私は楽観的だ。ハーランドはドルトムントで満足している。昨シーズンの冬の移籍市場でドルトムントを選んだのは正しかったと思う。短期間で次のステップを踏むのは得策とは言えない」
ただ、ヴァツケCEOが否定したのは2021年夏の契約解除金7500万ユーロである。一方、ドイツやスペインのメディアでは2022年夏にその契約解除金が行使可能だと伝えられている。
契約解除金が支払われた場合、ドルトムントに成す術はない。近年の例でいえば、ネイマールの移籍がそうだった。契約解除金2億2200万ユーロ(約284億円)を準備したパリ・サンジェルマンに対してバルセロナは何もできなかった。
あるいは、ドルトムントが考えを変えて今夏のハーランド売却を検討するかだ。1億ユーロもしくは2億ユーロといった高額な移籍金が準備され、2クラブ間の交渉で合意に至れば、ハーランドの移籍が成立する。
最近ではライオラ代理人がスペインに赴き話題を呼んだ。マドリーやバルセロナと接触したとみられている。ただ、ハーランド自身は「ドルトムントとの契約を3年残している。だから(移籍に)注意は払っていない」と地に足を着けている。だが周囲は彼を放っておかないだろう。彼が結果を出し続ける限り、落ち着かない日々は続く。