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加藤豪将に再昇格のチャンスはどれくらいあるのか。メジャーデビューしたものの、打席に立つことなく降格

宇根夏樹ベースボール・ライター
マーカス・シミエン(左)と加藤豪将 Apr 9, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月10日、加藤豪将(トロント・ブルージェイズ)は、メジャーリーグからAAAへ降格となった。

 この2日前に、ブルージェイズは、アンソニー・カストロをクリーブランド・ガーディアンズへ放出し、ブラッドリー・ジマーを手に入れた。カストロはブルージェイズのアクティブ・ロースターに入っていなかったので、ジマーをそこへ入れるには、代わりに誰かを外す必要があった。

 加藤のように、マイナーリーグ・オプションが残っている選手なら、ウェーバーを経由せずに降格させることができる。一方、ジマーのように、マイナーリーグ・オプションが切れている選手は、降格に際してウェーバーを経る必要があり、その際、他球団に獲得される可能性が生じる。

「開幕ロースターに入ったのに、開幕を迎える前にマイナーリーグへ降格!?」で書いたとおり、ジマーに代わって降格になるのは、ザック・コリンズだと予想していたが、そうはならなかった。

 ブルージェイズには、コリンズ以外にも、捕手が2人いる。ダニー・ジャンセンアレハンドロ・カークだ。彼らに次ぐ3人目の捕手、コリンズのマイナーリーグ・オプションは、まだ残っている。だが、カークは、2人目の捕手というだけでなく、DHの一番手だ。ジャンセンが試合の途中で負傷し、カークがDHとして出場していた場合、コリンズがいないと、ブルージェイズはカークを守らせるためにDHを解除しなければならなくなる。この点も、降格がコリンズではなく加藤だった理由の一つかもしれない。

 降格の前日、加藤は、メジャーリーグで初めてプレーした。開幕2試合目だ。8回裏に、カークの代走として出場し、ライメル・タピアのバントで二塁へ進んだ。そして、イニングの終了とともにジャンセンと交代した。この日のスタメンマスクは、カークがかぶっていた。加藤は、メジャーデビューこそしたものの、まだ打席には立っておらず、守備にもついていない。

 マイナーリーグで、加藤は、6ポジションを経験している。二塁、一塁、三塁、遊撃、レフト、ライトだ。

 ブルージェイズの内野4ポジションのうち、一塁はブラディミール・ゲレーロJr.、遊撃はボー・ビシェット、三塁はマット・チャップマンが守り、残る二塁は、キャバン・ビジオサンティアゴ・エスピナルが出場機会を分け合っている。外野は、左から右へ、ルルデス・グリエルJr.ジョージ・スプリンガーテオスカー・ヘルナンデスの3人を基本とし、他に2人、タピアとジマーを擁する。

 野手は、彼らと捕手3人の計13人だ。今のところ、加藤の再昇格があるとすれば、このなかから故障者が出るか、ビジオとエスピナルの一方が不振に陥った時くらいだろう。この2人も、マイナーリーグ・オプションは残っている。控えの外野手との入れ替わりは、まずない。ジマーと同じく、タピアもマイナーリーグ・オプションは切れている。

 また、故障者リストに入る選手や降格する選手がいても、加藤が昇格するとは限らない。例えば、現在はAAAで故障者リストに入っているものの、オット・ロペスは、内外野を守ることができる。バッテリー以外の7ポジション中、加藤はセンターを守ったことがなく、ロペスは一塁が未経験だ。ちなみに、ロペスも、これまでにメジャーリーグでプレーしたのは1試合だけ。昨年8月に代打として出場し、三振を喫した。守備にはついていない。

 4月11日、ブルージェイズは、ジャンセンを故障者リストに入れ――スウィングした時に左脇腹を痛めたらしい――代わりにタイラー・ハイネマンをAAAから昇格させた。ハイネマンも捕手だ。引き続き、3人の捕手を擁し、ブルージェイズは試合に臨む。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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