9月の台風とラニーニャ
3年ぶりにラニーニャ発生か。米はハリケーンの活発化に警戒を呼びかける。日本でも台風の発生が相次いでいるが、前回のラニーニャ発生時は9月10月に強い台風が上陸し、交通機関に大きな影響があった。
まもなくラニーニャ発生
世界気象機関(WMO)は27日、この秋にもラニーニャ現象(以下、ラニーニャ)が発生する可能性が高いと発表しました。また、豪気象局も18日、ラニーニャ発生の初期段階にあるとして、注意から警戒へ、ラニーニャの発生に備えるよう呼びかけました。
ラニーニャが発生すれば、2017年秋以来、3年ぶりのことです。ただ、予想されるラニーニャの規模は小さく、短期間で終わるとの見通しです。
ラニーニャでハリケーン活発化のおそれ
早くもラニーニャの影響を危惧する声が上がっています。
27日は米ルイジアナ州南部に大型ハリケーン・ローラ(Laura)が上陸しました。米海洋大気庁(NOAA)によると、今年はシーズン前半から熱帯低気圧の発生が相次ぎ、これまでに名前の付いた熱帯低気圧は12個となりました。これは一年間に発生する数に相当し、この時期としては記録的な多さだそうです。
ハリケーンが活発化している背景には大西洋やカリブ海の海面水温が高いこと、貿易風が弱いことが挙げられます。さらに、ラニーニャが発生すると、地上と上空の風向・風速の変化が弱くなるため、熱帯低気圧がより発達しやすくなります。米海洋大気庁は大型ハリケーンが発生しやすい3条件がそろうとして、最大限の警戒を呼びかけました。
2017年は強い台風が2個上陸
日本も8月になって台風の発生が相次いでいて、28日午後3時にはフィリピンの東海上で台風9号が発生しました。8月の発生数はこれで7個となり、平年(5.9個)を上回りました。
ラニーニャが発生すると台風はどうなるのでしょう?
ラニーニャが発生していた年の台風の発生数や上陸数を調べてみました。すると、発生数や上陸数は平年との差がほとんど見られませんでした。さらに、9月と10月に上陸した台風の数も調べてみましたが、こちらも傾向はつかめず。
ただ、前回、ラニーニャ年だった2017年は9月17日に台風18号が鹿児島県に、10月23日には台風21号が静岡県に上陸しました。いずれも強い勢力で上陸したため、西日本から東日本の広い範囲で記録的な大雨や暴風が発生し、交通機関に大きな影響がありました。ラニーニャが発生しても、しなくても、9月10月の台風に警戒が必要なことに変わりはないようです。
【参考資料】
世界気象機関(WMO):WMO Update: 60 percent chance of La Nina、27 August 2020
豪気象局:La Nina ALERT likelihood of La Nina in spring has increased、Climate drivers in the Pacific, Indian and Southern oceans and the Tropics、18 August 2020
米海洋大気庁(NOAA):'Extremely active' hurricane season possible for Atlantic Basin、August 6, 2020
気象庁ホームページ:エルニーニョ/ラニーニャ現象
気象庁ホームページ:過去の台風資料